抄録
蔗糖ならびにマルチットシラップを使用し, それぞれ糖量, 水分量が等しくなるような材料配合でプディングを調製して, 両ゲルの性状を比較した.
1) 二点識別試験による官能検査の結果から, 両プディングの口あたりと甘みに差異が認められた.
2) 蔗糖プディングはやや赤黄色味の強い色調で, 歪み率16.2%, ヤング率1.35×104dyn/cm2であった. マルチットプディングはやや無彩色に近くなり, 歪み率18.9%, ヤング率1.16×104dyn/cm2と若干ひずみが大きく, 変形しやすい. 室温放置によるゲルからの分離液量はマルチットのほうがやや多い傾向を示した.
3) 機器測定の結果, 蔗糖プディングは硬さ7.49×103 dyn/cm2, 破断強度47.3×103dyn/cm2, 瞬間弾性率31.73×103dyn/cm2, 平衡弾性率8.24×103dyn/cm2であり, マルチットプディングは硬さ7.43×103dyn/cm2, 破断強度42.9×103 dyn/cm2, 瞬間弾性率 27.30×103dyn/cm2, 平衡弾性率6.76×103dyn/cm2であった. すなわち, マルチットプディングのゲルは蔗糖に比べて破断しやすく, 弱くて軟らかい変形のしやすいゲルであるといえる.