家政学雑誌
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31 巻, 7 号
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  • 村山 篤子, 川端 晶子
    1980 年 31 巻 7 号 p. 475-480
    発行日: 1980/08/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    デザートゼリーとして使用可能な範囲の濃度に調製した寒天 (0.5~2%), カラギーナン (1~2%), ゼラチン (2~3%) 溶液について, 液状物質粘弾性測定装置を用いて動的粘弾性の測定を行った. 同時に10%の蕪糖を含有する1%寒天ゲル, 2%カラギーナンゲル, 3%ゼラチンゲルを調製しテクスチャーについてSD法による官能検査を行った.
    1) 寒天, カラギーナン, ゼラチン溶液はいずれも濃度が高くなるにつれてG' (貯蔵弾性率), G'' (損失弾性率) とも増大する. 寒天およびカラギーナン溶液では測定開始5~6分後に最大となりその後の変化はほとんど認められない. 一方G''は経時的に大きくなる。しかしゼラチン溶液ではG'は経時的に増すが, G''は15分後には最大に達しその値は小さい. 寒天, カラギーナン, ゼラチン溶液の間にはゲル化過程の挙動に顕著な相違が認められた. なお同濃度の寒天とカラギーナン溶液を比較すると, G', G'' とも寒天のほうが大であった.
    2) 蔗糖を10%, 20%の濃度になるように添加した各溶液においても1) と同じ傾向が認められた. いずれの濃度においても無添加のものは蕨糖添加溶液より, 10% 蔗糖添加は20%蔗糖添加よりG', G''とも小さい値を示した.
    3) 寒天, カラギーナン溶液を30℃および20℃において測定を行い冷却温度の影響を調べた. 1) と類似の経時変化を示したが, 30℃に比べて20℃の測定では, G', G''とも大であった.
    4) tanδ (G''/G') を求めたところ寒天, カラギーナンは類似のパターンを示す. すなわち濃度が高くなるとtanδは大きくなっていく. ゼラチンはこれらと逆で濃度が増すにつれてtanδは小となる.
    5) ゲル化の経時変化では寒天, カラギーナン溶液ではG'' (粘性), ゼラチン溶液はG' (弾性) の顕著な増大が認められた. これはゼリーのかたさと関係あるものと考える. 3種のゲルの官能検査でもゲル化過程のG', G''の相違が各ゲルのテクスチャー特性に示されている.
  • プディングの性状, 嗜好性におよぼす材料配合比と加熱条件の影響
    和田 淑子, 宮川 和子
    1980 年 31 巻 7 号 p. 481-488
    発行日: 1980/08/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    蔗糖のかわりに同甘味のマルチットシラップを使用して, カスタードプディングを調製する場合の適切な材料配合比と加熱条件を検討した.
    1) 鶏卵100に対して, 牛乳量165, 220, 275, 糖量35, 60, 85の三元配置法による材料配合では, マルチットプディングが蔗糖プディングに比べて, 硬さ, 破断強度ともに小さく, 歪み率は大となった. また, ゲルからの分離液量も多い傾向を示した.
    2) 普通加熱 (85℃, 18分蒸し加熱) と高温短時間加熱 (ガス量6l/分, 3分蒸し加熱, 余熱5分利用) のゲルの性状を比較した. 蔗糖プディングは両加熱による性状に顕著な差はみられなかった. 一方, 糖量の多いマルチットプディングは, 高温短時間加熱がゲルの凝固を促進し, 歪みも小さく, 分離液量の少ない性状の良好なゲルとなり, 調理能率の点からもきわめて合理的な加熱法であった.
    3) 官能検査の結果から, マルチットプディングの良好な材料配合比は鶏卵22%, 牛乳48%, マルチット 30%である. これは蔗糖で良好な配合比をもつプディングに比して, 約50%のエネルギー低下となる.
  • 蔗糖およびマルチットプディングの物理的性状の比較
    和田 淑子, 宮川 和子
    1980 年 31 巻 7 号 p. 489-492
    発行日: 1980/08/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    蔗糖ならびにマルチットシラップを使用し, それぞれ糖量, 水分量が等しくなるような材料配合でプディングを調製して, 両ゲルの性状を比較した.
    1) 二点識別試験による官能検査の結果から, 両プディングの口あたりと甘みに差異が認められた.
    2) 蔗糖プディングはやや赤黄色味の強い色調で, 歪み率16.2%, ヤング率1.35×104dyn/cm2であった. マルチットプディングはやや無彩色に近くなり, 歪み率18.9%, ヤング率1.16×104dyn/cm2と若干ひずみが大きく, 変形しやすい. 室温放置によるゲルからの分離液量はマルチットのほうがやや多い傾向を示した.
    3) 機器測定の結果, 蔗糖プディングは硬さ7.49×103 dyn/cm2, 破断強度47.3×103dyn/cm2, 瞬間弾性率31.73×103dyn/cm2, 平衡弾性率8.24×103dyn/cm2であり, マルチットプディングは硬さ7.43×103dyn/cm2, 破断強度42.9×103 dyn/cm2, 瞬間弾性率 27.30×103dyn/cm2, 平衡弾性率6.76×103dyn/cm2であった. すなわち, マルチットプディングのゲルは蔗糖に比べて破断しやすく, 弱くて軟らかい変形のしやすいゲルであるといえる.
  • 反応染料型および直接染料型FBAの比較検討
    小川 育子, 小口 哲子, 林 雅子, 矢部 章彦
    1980 年 31 巻 7 号 p. 493-499
    発行日: 1980/08/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    To investigate the effective utilization of FBAs especially in the washing process of textile materials and to prevent the environmental contamination, properties of several reactive-type FBAs-fixation, ratio, whitening effect, and wash fastness-were examined and compared with theseof corresponding direct-type FBAs. Both series are triazinyl stilbene type FBAs. The results are summarized as follows :
    1. The fixation ratios of each reactive-type FBA on cotton differ from the substituted groups on cyanuric rings of each FBA. But these ratios are almost equal to the adsorption ratio of corresponding direct-type FBAs.
    2. Desorptions of FBA from the reactive-type FBA whitened samples are very little, and wash fastnesses are extremely superior to that of corresponding direct-type FBAs.
    3. On the other hand, maximum reflectance obtained by the reactive-type FBAs was about 138%. These values are compared unfavourably with those of the direct-type FBAs.
    Now we are investigating different series of reactive-type FBAs which have superior whitening effect together with excellent wash fastness.
  • 形態および面積について
    田村 照子, 斉藤 秀子, 渡辺 ミチ
    1980 年 31 巻 7 号 p. 500-506
    発行日: 1980/08/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    下肢動作に伴う胴下部および大腿部体表面の変化を石膏包帯法を用いて採取, 不織布により展開, 測定し, 展開図の形態変化, 面積変化について検討を加えた. 動作は静止, 股関節両側30°外転, 股関節右側30°屈曲, 股関節膝関節両側90°屈曲, 被検者は女子学生7名, 結果は次のとおりである.
    1) 静止時に対する各動作時展開図の形状変化例は, 図4-a~cのとおりである.
    2) 各動作時体表部位別面積の静止時に対する平均変化率は図5-a~cのとおりである.
    3) 体表部位別動作時変形挙動特性を検討すると,
    i) 胴下部皮膚面の変化は, 下肢の動作方向, 動作量を直接反映し, 下肢の動作方向 (屈側) の皮膚面は収縮を, 反対側 (伸側) の皮膚面は伸展を示す. いずれの伸縮率も屈曲角度が大となるほど顕著である.
    ii) いずれの動作においても, 最大伸縮率を示すピースは前面好はそけい部, 側面好は転子部を含み, 後面好は殿溝・殿裂に接するピースであった. すなわち, 下肢動作に伴う伸縮は, 下肢の付け根 (股関節部) に最も強く現れ, しだいにその周辺にも影響を及ぼす. これら変形量には, 皮膚自身の弾性変形のみならず, 機構的しわが関与していると思われる.
    iii) 屈曲動作における変形量は, 正中側FM・FL・BM・BL列に顕著, 外側FL'・BL'列では比較的僅少であり, 胴上部変形とは対照的な変化傾向を示した.
    iv) 大腿部では, 形状的には変化も見られるが, 面積の変化は僅少である.
    胴下部皮膚変形に関する研究のうち表面積を測定したものに山崎らの例が見られる. これと本研究とは設定動作, 基準線の入れ方等を異にするため, 量的に比較することは困難であるが, 近似した設定動作時についてみるとほぼ近似性が得られている. 本研究は, 従来定性的に把握されてきた体表面変化について, ある程度数量的な評価を付加するものと考える. 次報では, 被服設計に当たって, より直接的に必要な体表長の伸縮性について検討を加えたい.
  • 主成分値の年齢的変化
    川上 梅, 長谷部 ヤエ
    1980 年 31 巻 7 号 p. 507-513
    発行日: 1980/08/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    Principal Component Analysis has been applied to 64 anthropological measurements of 700 adult Japanese males aged 20 to 59. As a result five factors were extracted and characterized. Then individual principal component values for each factor were calculated, and their changes with age were examined in order to survey the variations of synthetic body size and shape with age.
    The main results are as follows :
    1) The first principal component could be regarded as a total body size factor, the second as a lean-obesity factor, the third as a shoulder width factor, and the fourth as a trunk height and limb length factor.
    2) The total body size became the largest in the 30-34 years. There was a strict tendency to corpulence with age. The shoulder width decreased between the 30-34 years and the 40-44 years. The trunk height had a tendency to decrease with age, whereas the relative upper limb length had a slight tendency to increase.
  • 百瀬 靖子, 湯沢 雍彦, 末広 和子, 内海 すの子
    1980 年 31 巻 7 号 p. 514-520
    発行日: 1980/08/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    1) 家庭生活の健全度測定指標を構成する目的で, 4側面からなる10領域指標, 100項目にわたる項目・尺度の作成を試みた.
    同尺度による一般主婦を対象に測定実施した結果, ストレス, 家族統合, 夫婦関係, 次いで住居・環境領域 (指標) に高い健全度を示した.
    2) 指標の妥当性をx2-検定により求めたところ, ストレス, 家族統合, 夫婦関係, 次いで生活満足感, 住居・環境領域 (指標) に, 高い妥当性を示した.
    指標の健全度への影響をφ係数により求めたところ, 全体判断的側面 (家族統合, 生活満足感領域指標) の連関の高さが示された.
    3) ステージ別, 家族構成別, 職業の有無別による健全度への影響は, ステージ別-高等教育へ子女を進学させる家庭の健全度は幼稚園児を有する家庭より高い-にやや明確な傾向が現われた以外は, 差がみられなかった. 個々領域では若干の差が現われるものの健全度の低い領域では他の領域で補強することにより平均的な健全度を示した.
    4) 以上により, 家族関係領域, 心理的・情緒的領域, 家族意識的領域指標での健全度測定尺度としての妥当性の高さ, と同時に同指標での健全度の高さを認めうる. と同時に, 家庭生活の健全度測定値は, 家庭生活の満足度状況と関係が深いという仮説を実証できた.
    5) 今後の課題
    若干の項目や尺度を検討・追加すること. 調査対象の幅を広げ, 家庭機能の充足が十分でない家庭や地域, 階層にも及ぶ調査の実施を繰り返し検討すること.これらにより, 信頼性の高い標準化された指標が構成されるものと考えられるからである.
  • 沖田 富美子, 武田 満す
    1980 年 31 巻 7 号 p. 521-527
    発行日: 1980/08/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    This study has been performed to find out the actual situation and the problem of the kitchen, in the general houses in Japan. Especially, in this article we expect to analyze on the actual situation and the estimation of dwellers for the kitchen in the detached houses, and to know the tendency of variation of the way of cookery. The subjects of this investigation were 222 housewives who had a daughter in undergraduate course. The investigation was carried out by the inquiry papers in July, 1975.
    The results are as follows :
    1. The “DK” type of the kitchen is predominant in the detached houses, and the homemakers who work in this kitchen are satisfied with their kitchen.
    2. On the space of kitchen, they are satisfied with more than 14 m2 in the case of the “DK” type of the kitchen, and more than 8 m2 in the case of the “K” type of the kitchen. That is, they like more spacious kitchen.
    3. On the layout of the base cabinet counter in the kitchen, the “I” shape type or the strip type is most popular.
    4. Although the storage space of the kitchen in the detached houses are larger than that of the ready built houses, the homemakers of the detached houses still desire larger space. It is inevitable that the storage space will become the most important problem on the design of the kitchen.
    5. At present, many homemakers use the instant foods, the ready-made foods and the frozen foods, but these facts still have not a powerful effect on the design of the kitchen and the way of cookery.
  • 枚方市における病児保育所の必要性の認識について
    町田 玲子, 上野 勝代, 山田 優子
    1980 年 31 巻 7 号 p. 528-533
    発行日: 1980/08/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    大阪府枚方市には, 地域の共同施設として単独に設げられた病児保育所としては, わが国で最も古くから開設されている病児保育所 (Hと略す) がある. 国としてもまだ制度化されていない病児保育ではあるが, 枚方市では昭和54年5月に, 公立の病児保育所も設けられた. その背景には, 市民, とくに, 共働き階層の積極的な運動があった. 本報告は, アンケート調査によって, 病児保育所の必要性に対する親の考えを明らかにし, 今後, 地域計画に病児保育所をとり入れる際の距離的条件設定の資料とすることを目的とするものである.
    その結果, 次の点が明らかとなった.
    1) 病児保育所の問題としてあげられたものは利用者層では満床になりやすく, すぐ利用できないことが多いこと, また非利用者層では, 遠すぎることがおもなものであった.
    2) 利用上の評価は高く, とくに子どもの回復が早いこと, 親にとっては, 医師の監督下に子どもを置いて, 安心して就労できること, が, 高率を占めていた.
    3) 地域社会に必要だと答えたものが, 利用者層にやや高かったが, それぞれ9割前後を占めていた.
    以上のことから, 病児保育所は, 病児を対象とする特殊性ゆえに, 遠くても居住地より2kmの圏内に計画され, 設置されるべきであろうと考えられた.
  • 白田 きち, 宍戸 文子
    1980 年 31 巻 7 号 p. 534-539
    発行日: 1980/08/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    育粉, ベビーフードのNa, K, Ca, Pを定量し, 次のことを認めた.
    育粉の罐に表示してあるNa, K, Ca, Pは, 昭和53年に新発売になった2製品を除いては分析値に一致していないものが多い. 表示そのものも検討を要するものがいくつかある. NaとKは表示がないものもあり, とくにNaは表示との差が大で, 製品によっても差がある. CaとPの比も製品によって差がある.
    市販離乳食は手作りのものに比べNaが多く, また, 勧告国際規格の200mgを上回ったものが多い. とくに副食物のNaは多い.
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