1981 年 32 巻 9 号 p. 679-684
本研究から見いだされたものは, 次のような結果である.
1) 幼児1人の条件では, 個人的不安傾向の高い幼児は低い幼児に比して, Novelty-Mの遊具の探索量が著しく少ないが, 仲の良い同輩の存在によってその差は減少する.
2) 幼児は, 相対的に新奇な遊具に探索活動をより誘発されるのに対し, 新奇性の低い遊具でよく遊ぶ.
3) 幼児の遊具に対する行動には, 探索→遊びという順序が考えられ, この順序は, 遊具の新奇性レベルが増加するほど規則的であり, 探索に費やす時間は増加する.
以上のような結果から, peercon.で今回は, 被検者とともに実験に参加する友達の不安傾向の高低が, 被験者の行動に影響を及ぼさないようにという配慮の下に, 友達の不安傾向を中程度に限定した.しかし, 現実の子どもの遊び場面を考えた場合, 友達の個人的特性, また, 友達同志の親密度の大小が, 子どもの遊びにどのような影響を及ぼすかという点について, 観察方法・時間を検討した上で, さらに研究する必要があると思われる.