家政学雑誌
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牛肉スープストックに関する研究
肉使用量と加熱時間が成分溶出に及ぼす影響
三田 コト青柿 節子吉松 藤子
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1982 年 33 巻 5 号 p. 235-239

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抄録

牛肉スープストックの肉使用量と加熱時間とが溶出成分の変化に及ぼす影響について検討を行った.
1) 肉使用量について
肉の量を水の20%から100%までの5段階に設定して成分の溶出を調べた.牛肉20g当りの溶出量を1とした場合の各成分の溶出割合をみると, エキス分, 全窒素, コハク酸, 5'-AMPは肉使用量の増加に伴い溶出割合はわずかに低下し, 乳酸は肉使用量の増加につれて著しく溶出割合が低下した.酸度とホルモル窒素は20%から60%までは溶出割合に差がなく, 80,100%では低下がみられた.
2) 加熱時間について
加熱時間が長くなるにつれ溶出量は増加した.しかしその差はわずかで酸度, 全窒素, ホルモル窒素以外は有意差がみられなかった.また溶出量の増加は3時間までが比較的いちじるしく, 4時間, 5時間では一部を除きあまり変化がない.ただし5'-IMPは4時間を過ぎると大幅な減少が見られた.
以上の結果から一般調理書に述べられている方法, すなわち, 「加熱初期では水に対する肉の使用量の割合を小さくしておき3時間前後にわたる長時問の加熱中に成分の溶出と濃縮を図る」は理論的にも正しいものといえる.

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