家政学雑誌
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唾液中の硝酸塩および亜硝酸塩量におよぼす日常食成分の影響
浜野 美代子伊野 みどり
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1986 年 37 巻 10 号 p. 841-848

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抄録

日常, 摂取する食事が唾液中に分泌されるNO3-およびNO2-濃度にどのような影響を与えるかを明らかにするため, 5日間にわたり, 種々献立の実験食を設定し, これを摂取したさいの, 唾液中のNO3-およびNO2-濃度の変化を経時的に追跡した.得られた結果を要約すると次のようになる.
1) まず, 実験食の調理前後におけるNO3-およびNO2-量を測定した結果, 食事の種類によりNO3-およびNO2-量にかなりの差がみられた.とくに調理との関連をみると, ほうれん草のおひたしを用いた献立では, 下調理, つまり, ゆでることにより喫食部分に含まれるNO3-とNO2-量は著しく減少した.
2) 実験食摂取後の唾液中のNO3-およびNO2-濃度を調べた結果, NO3-では食後30分ないし1時間で最高濃度を示し, NO3-ではNO3-よりも30分ないし1時間遅れて最高濃度に達した.
3) 食事からのNO3-摂取量の多いほど, 摂取後の唾液中のNO3-およびNO2-濃度が顕著に上昇したが, NO3-やNO2-のレベルには大きな個人差がみられた.また, 口腔内における硝酸塩還元能, つまり, 唾液中のNO2-濃度についても個人差がみられた.
4) 食事に含有されているレベルの硝酸ナトリウムを被検者に経口投与した結果では, 投与量の多いほど唾液中のNO3-濃度が高くなる結果が得られた.

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