家政学雑誌
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被服購入時の選択要因に関する研究
有馬 澄子南林 さえ子
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1986 年 37 巻 5 号 p. 385-396

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抄録
女子大生197名を被験者とし, 被服122品を対象とした被服購買行動調査のうち, 衣服購入時の選択要因に関して分析した結果から, 次のことが明らかになった.
1) 被服がどんな選択要因によって選ばれ購入されるかは, 被服122品に対する因子分析の結果から, 次の三つの基準によって説明できる.第1因子と相関の高い「品賢サイズ・ブランド」, 第皿因子と相関の高い「機能性一デザイン・価格」, 第皿因子に第1因子より顕著にあらわれた「ブランド」の三つの基準である.
2) 被服122品をその選択基準によってクラスター分析すると, 次の特性をもつ六つのグループに分けられる. (1) デザイン・価格グループ (外出着, 外衣など24品), (2) 仕上り・材質グループ (和装品, 毛皮など23品), (3) 平均的グループ (日常着, 靴など26品), (4) ブラソド志向グループ (スキー, テユス用品など9品), (5) 機能性グループ (働き着, ファンデーションなど24品), (6) ブランド否定グループ (シャツ, 靴下, 手袋など16品) の6グループである.3) 被験者が被服を購入するに際し, どんな選択意識をもっているかは, 被験者197名に対する因子分析の結果から, 次の三つの基準によって説明できる.第工因子と相関の高い「サイズ」, 第豆因子と相関の高い「デザインー価格」, 第III因子と相関の高い「機能性」の三つの基準である.
4) 被験者197名を, その選択意識によって分類すると, 六つのグループに分けられる. (1) デザイングループ (37名), (2) 不明 (1) グループ (27名), (3) サイズグループ (30名), (4) 機能性グループ (27名), (5) 不明 (II) グループ (57名), (6) 価格グループ (19名) の6グループである.
5) 被服購買行動における, 被服購入時の選択要因に関しては, 被験者グループ (デザイン, サイズ, 機能性, 価格グループ) のもつ選択意識要因が, 被服のもつ選択特性要因よりも有意に強くはたらく場合が多い。
しかし, 被服グループの中でも, 性格のはっきりしたグループ (仕上り・材質, 機能性グループ) は, 被験者の選択意識要因を否定して, 被服のもつ選択特性要因を優先する場合がある.
6) 被験者グループ, 被服グループの相互関係を総合すると, 価格重視の被験者グループ, サイズ重視の被験者グループはとくに強い, はっきりした選択意識をもち, 仕上り・材質重視の被服グループはとくに強い, はっきりした選択特性をもつ.
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© 社団法人日本家政学会
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