家政学雑誌
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心拍数測定からみた刺激性食品摂取時の消費エネルギー量
中野 典子森奥 登志江小川 安子
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1986 年 37 巻 6 号 p. 411-417

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抄録

1) 被検者15名の心拍数と酸素摂取量間の相関係数はおのおの0.9以上であった.
2) わさび, にんにく, 辛子, カレー粉, 赤唐辛子等の刺激のある香辛料の香りをかいだときと, バニラエッセンスのような甘い香りをかいだときを比較すると, わさび, にんにく, 辛子, カレー粉, 赤唐辛子等のような刺激性のあるものの場合は1分間あたりの心拍数が90~100回, 平均心拍数97回であった.これに対し, 甘い香りをかいだときは平均心拍数86回であり, 刺激性のある香辛料の香りをかいだときには心拍数は高い値を示した.また, カレー粉の香りをかいだときの消費エネルギー量は, HR-VO2法およびRMR法よりの算出値は, 休息状態での消費エネルギー量にくらべ両方法において高値となった.
3) 白飯摂取時1分間あたりの心拍数は平均89回であったが, 白飯にカレー粉をまぜて摂取すると心拍数は平均102回となり, 白飯に赤唐辛子粉をまぜて摂取すると平均心拍数は99回であり, 刺激性の強い香辛料の存在により心拍数は高値を示した.
4) 平常食事と刺激性の強い調理品を摂取したときの1分間あたりの心拍数は, 平常食事時では80~90回台であるのに対し, 刺激性の強い調理品摂取時は90~100回台に心拍数が集中しており, 刺激性のある調理品を摂取するときには心拍数は高くなった.
5) 消費エネルギー量は平常食事では, 体重1kgあたり1分間, 平均0.037kcalであり, 刺激性の強い調理品摂取時は平均0.056kcalとなり, 刺激性の強い調理品摂取においては, 消費エネルギー量測定値は高く示された.
したがって, 食事中の消費エネルギー量は, 刺激性のある調味料の存在と料理の献立により変化することが考えられる.

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