大麦粉, 高繊維大麦粉の調理への利用を目的とし, スープおよびソースに相当する濃度の希釈液 (以下, スープ, ソースと称する) を調製した.各粉とパターからブールマニエ, ホワイトルー, ブラウンルーを調製し, 水または牛乳を添加したスープとソースに用いた.色差ならびに粘度測定, 官能検査により, その調理適性について小麦粉との比較の上から検討を加え以下の結果を得た.
1) 色差測定において, 大麦粉, 高繊維大麦粉の水添加ブールマニエスープおよびホワイトスープの明度と黄味は小麦粉スープにくらべて低かった.大麦粉の水添加ブラウンスープは明度が高く, 赤味, 黄味とも低かった, これらの結果は水添加ソースでも同様であったが, 小麦粉試料との差は増大した.牛乳添加スープおよびソースでは牛乳の色の影響が大きく, 小麦粉試料との色差は小さかった.
2) スープおよびソースの冷却に伴う粘度増加は大麦粉試料が最も大きく, 次いで高繊維大麦粉試料であった.60℃における粘度も大麦粉試料で最も高く, 次いで高繊維大麦粉試料であった.これらの小麦粉試料との差は, ブールマニエスープ, ソースおよびホワイトスープ, ソースで大きく, ブラウソスープ, ソースではわずかであった.牛乳添加による粘度上昇は小麦粉のスープ, ソースにくらべて, 大麦粉試料で小さかった.
3) 官能検査において, 大麦粉のホワイトスープ, ソースおよびブラウンスープ, ソースは小麦粉試料にくらベて味が好まれ, ねばさが強いとされたが, 色, つや, なめらかさの評価が低かった.高繊維大麦粉試料のなかでは, 水添加ブラウンスープ, ソースが色, つや, 呈味ともに好まれた.
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