家政学雑誌
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共稼ぎ家庭と一般家庭の夫婦の生活の時間的構造について (第二報)
子供の有無、家族形態、子供の入数による影響について
稲葉 ナミ
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1958 年 9 巻 2 号 p. 99-103

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抄録

1. 何れの分類によつても、職業労働をもつ者(共稼ぎ家庭の夫・妻、一般家庭の夫)は、平日は長い拘束時間を持つため、その差が認められず、拘束時間を持たない一般主婦にはその差が表われている。
2. 自由時間の多い休日には、平日差のない者にもその差を認められるから、平日は職業労働のため、家庭生活が圧迫されていることが分る。
3. 平日、2の考察によるI・IVの一般家庭の主婦以外は、常に妻はその夫より労働時間が長く、従つて余暇が少ない。
4. 2の考察により同じくIIの妻について共稼ぎの妻と一般主婦とは、その時間的構造を異にしている。共稼ぎの妻はIの妻と同じ時間的構造を示しているがこれは、自然である。一般主婦がIIIの妻と同じ時間的構造を示すのは、他の家庭と同居している場合の封建性を示すものであろう。すなわち、妻が職業を持つことにより、家庭における自由が得られると見るべきであろう。
5. このこととあわせて考えられることは、一段家庭のIIの妻が、平日、休日共に最も家事労働が多いにもかかわらず、その夫は常に最も家事に協力していないことは、やはり他の家族との同居による封建的な嫁としての立場を表わしているものであろう。
6. 2の考察によるVIの妻は、共稼ぎ家庭、一般家庭共に、本調査中最高の余暇時間をもつておる。さきに調査した埼玉県下の共稼ぎ家庭ではVIの妻が最も労働時間が長く、余暇が少なかつたのと対照的である。
これは子供の人数の少ないためであろうか。
7. 子供の人数による差より、学令前の幼児の右無による差が大きく表われている。

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