日本家政学会誌
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鰹節の水だし汁に関する研究
そばつゆのエイジングによる味の変化
脇田 美佳畑江 敬子吉松 藤子
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1987 年 38 巻 2 号 p. 103-106

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抄録
水だしそばつゆのエイジングによる効果を, 官能検査により確認した.エイジングによるうま味の増加は, 通常の加熱だし汁あるいは水だし汁を蒸したものを用いた場合はみられなかった.そばつゆ中の成分は, ホルモール態窒素にやや増加がみられ5'-IMPはごくわずかに増加した.そばつゆ中では5'-IMPの増加はごくわずかしかとらえられなかったが, 水だし汁中には5なAMPの減少, 5'-IMPの増加が認められることより, そばつゆのエイジング中のうま味増加は, 微量に増加した5'-IMP, 遊離アミノ酸, ペプチド態アミノ酸の相乗効果によると考えた.そこで, 5'-AMPデアミナーゼの存在を推定し, 水だし汁を透析した液に5'-AMPを添加しエイジングしたところ, 5'-AMPは著しく減少し, その減少に対応して5'-IMPは増加した.この5'-AMPの減少と5'-IMPの増加は, 鰹節外層部から得た水だし汁中に, 鰹節のかびつけ部分に由来し, 5'-AMPを5'-IMPに変換する酵素が存在することを示唆している.
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© 社団法人日本家政学会
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