日本家政学会誌
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38 巻, 2 号
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  • 山崎 吉郎
    1987 年38 巻2 号 p. 93-97
    発行日: 1987/02/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    納豆はその呈味において, 独特の苦味を有している.その苦味は, 納豆菌の作用によって生ずる, 大豆タンパク分解生成物のペプチドであることが明らかにされているが, 納豆中の苦味ペプチドの構造がどのようなものであるかを追究するため, 納豆よりn-ブタノール抽出した試料について苦味ペプチドを分析した.
    セファデックスG-25カラムによるゲルろ過でFr.1~3の3画分を得たが, そのうちFr.1に強い苦味が認められた.さらにFr.1成分をCM-セファデックスでFr.a, b, cの3画分に分画したところ, Fr.bに最も強い苦味を認めた.Fr.aは弱い苦味, Fr.cはアミノ酸様のうま味を有していた.
    Fr.bより高圧ろ紙電気泳動によって純粋なペプチドを得, 塩酸加水分解後のアミノ酸分析の結果, 苦味ペプチドのアミノ酸組成は, アスパラギン酸 : スレオニン : グルタミン酸 : アラニン : プロリン : バリン : イソロイシン : ロイシン=1 : 1 : 1 : 1 : 2 : 3 : 3 : 5であることがわかった.またN末端アミノ酸はDNP法によってロイシンであり, C末端の構造はカルボキシペプチダーゼA法によって-Ala-Val-Ile-Leuであることがわかった.
  • 辻 昭二郎, 中谷 文子
    1987 年38 巻2 号 p. 99-102
    発行日: 1987/02/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    基本的に物性が異なる, ゆでたじゃがいもとそれから調製したマッシュポテトの物性とそれらの食感との関連を, 代表的な2種のじゃがいもについて多重バイト試験法で検討した.
    1) ゆでたじゃがいもの食感と関連した物性は, 多重ノミイト試験法によるパラメータや, 多点測定多重パイト試験法で解析できる.
    2) 品種やじゃがいもの部位によって, ゆでたじゃがいものかたさやくずれやすさが異なることが多重バイト試験法によるパラメータでよく示された.
    3) 従来の試験法では測定が困難なマッシュポテトの物性も, マッシュポテトの液状試料の多重バイト試験法により簡便に比較検討できる.この方法で測定したじゃがいもの品種や部位によるマッシュポテトの物性の差はかなり大きかった.
    4) マッシュ作製のさいの裏ごしするふるいの穴の大きさとマッシュの物性との関係も, マッシュの液状試料の多重バイト試験法で比較検討できる。裏ごしするふるいの穴の径が小さいほど, マッシュポテトのみかけの粘度が増加する傾向がこの方法でよく示された.
  • そばつゆのエイジングによる味の変化
    脇田 美佳, 畑江 敬子, 吉松 藤子
    1987 年38 巻2 号 p. 103-106
    発行日: 1987/02/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    水だしそばつゆのエイジングによる効果を, 官能検査により確認した.エイジングによるうま味の増加は, 通常の加熱だし汁あるいは水だし汁を蒸したものを用いた場合はみられなかった.そばつゆ中の成分は, ホルモール態窒素にやや増加がみられ5'-IMPはごくわずかに増加した.そばつゆ中では5'-IMPの増加はごくわずかしかとらえられなかったが, 水だし汁中には5なAMPの減少, 5'-IMPの増加が認められることより, そばつゆのエイジング中のうま味増加は, 微量に増加した5'-IMP, 遊離アミノ酸, ペプチド態アミノ酸の相乗効果によると考えた.そこで, 5'-AMPデアミナーゼの存在を推定し, 水だし汁を透析した液に5'-AMPを添加しエイジングしたところ, 5'-AMPは著しく減少し, その減少に対応して5'-IMPは増加した.この5'-AMPの減少と5'-IMPの増加は, 鰹節外層部から得た水だし汁中に, 鰹節のかびつけ部分に由来し, 5'-AMPを5'-IMPに変換する酵素が存在することを示唆している.
  • 咀嚼パターンによる食品テクスチャーの評価 (第1報)
    高橋 淳子, 中沢 文子
    1987 年38 巻2 号 p. 107-113
    発行日: 1987/02/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    1) 食品のテクスチャーを人間の生理学的な面から調べる目的で, 圧力変換器を埋め込んだ義歯を作製し, 咀嚼中に歯にかかる力である咀嚼圧を測定した.
    2) 食品を噛んだときの咀嚼の荷重一時間曲線のうち, とくに食品を口に入れて第1回目に噛んだ荷重-時間曲線が, 食品のテクスチャーを強く反映していた.この荷重-時間曲線の形に基づいて食品を四つのグループに分類した.
    3) 咀嚼パターンより得られた, 平均咀嚼圧 (f), 咀嚼回数 (N), 咀嚼時間 (T) は食品のテクスチャーの特性を強く反映していた.一方, 咀嚼1回あたりの平均咀嚼時間 (T/N), および咀嚼1回目の加圧時間 (t1)は被食品を通してほぼ一定であり, テクスチャーの影響はみられなかった.
  • 小菅 啓子, 田中 美智, 安盛 都子, 小林 茂雄
    1987 年38 巻2 号 p. 115-121
    発行日: 1987/02/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    布帛のライブリネスについて, (1) 曲げ回復角速度, (2) ハートループ法による曲げ剛性, (3) 曲げヒステリシス特性における最大応力および回復率, (4) 反発力についての官能検査の4種の実験項目から検討した結果は以下のとおりである.
    1) まず薄地から厚地, あるいは柔らかい織物から硬い織物に共通なライブリネスの実験条件を見いだすために, 試料の初期条件について, 曲げ回復角速度のパラメータ (1/ω) の相関から検討した.その結果, 直径1.5cmのローラーを用いて, 半円周に巻きつける試験片の端からの長さを4.5cmにとった場合が適切であることを見いだした.
    2) 曲げ回復角速度を, 水平から45, 90,135°の3ヵ所で測定した.次に測定結果をもとに, 0~45°間, 45~90°間, 90~135。間におけるそれぞれの1/ωの割合を算出した.これらの結果から, (1) 曲げ回復角速度は, 固定からの開放時, すなわち0~45。問が最も速く, 標準偏差の値も最小値を示した. (2) 素材別には, 絹の回復角速度は, 固定からの開放時から, 回復角が大きくなるに従って遅くなるが, 綿と毛の回復角速度は, 45~90°間のほうが90~135°問より遅くなる傾向を示した. (3) 素材別にみた回復角間の回復角速度のばらつきは, 絹, 毛, 綿の順に大きい傾向にあった.
    3) 回復角135°における1/ωと剛軟度ならびに曲げヒステリシス特性における最大応力の相関図は, 双曲線の形を呈した.そこで剛軟度ならびに最大応力を対数に変換し, 1/ωとの相関を求めた.その結果, 毛は1/ωと剛軟度, ならびに曲げヒステリシス特性における最大応力との間に高い負の相関が, また回復率についても, 正の相関の有意性が認められた.綿, 絹については, 1/ω, と剛軟度との問に, 負の高い相関の有意性が認められた.
    4) 試料の反発力についての官能検査と曲げ回復角速度ならびに剛軟度の相関は, いずれも絹の場合にのみ, 有意性が認められた.
  • 高野倉 睦子, 神山 恵三
    1987 年38 巻2 号 p. 123-128
    発行日: 1987/02/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    環境条件, 衣服の形態や素材が, 衣服一皮膚空間に存在する皮膚から発散された不感蒸泄, 炭酸ガス濃度におよぼす影響について検討することを目的として実験を行った結果, 次のような結論を得た.
    1) 皮膚からの不感蒸泄の蒸散, 炭酸ガスの発散には, 環境温度ぼかりでなく潜熱因子が深く関与した.
    また, 同一環境条件において, 不感蒸泄は30分まで増加するが, その後はあまり変化しない.一方, 炭酸ガス濃度は30分以後急激に増加し, 可視発汗がおこるとこの傾向は顕著であった.
    2) 生理的飽差は, 中程度の環境で最も大きい値を示し, 皮膚からより多くの水分蒸散が可能であると考えられる.
    3) 衣服下の不感蒸泄, 炭酸ガスは, 衣服を重ねて着用することによって蓄積した.また, 1枚のみ着用する場合, 着用衣服の素材は衣服下の空気層の状態に影響を与えることが明らかとなった.
    4) 実効温度と衣服下の露点温度の回帰式は高い相関係数が得られ, 危険率1%で有意差が認められた.また綿の実験服のほうが毛より回帰式の傾きが大きく, 実効温度の上昇に伴う不感蒸泄の蓄積が顕著であった.
    5) 衣服下の炭酸ガス濃度は, 環境温度の上昇に伴い増加するばかりでなく, 着用衣服の素材によって, 蓄積された炭酸ガスが何らかの力によって外気に排出されるという「ふいご効果」が起こった.衣服の形態による差は認められなかった.
    本実験において不感蒸泄, 炭酸ガス濃度の測定は毎分0.3mlというたいへんゆっくりした速度で吸引したが, 微気候の測定は不感蒸泄, 炭酸ガスが皮膚から発散されてくる速度と同じであることが望ましく, このことは今後の課題であると考える.
  • 多変量解析による成長期の体型の研究 (第3報)
    河村 房代, 大村 知子, 長田 直子
    1987 年38 巻2 号 p. 129-134
    発行日: 1987/02/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    7~18歳までの男子902名, 女子888名を, それぞれ4年齢群に分け, 肩部および頸部に関する身体計測値ならびに計算値, 男子17項目, 女子16項目を用いて, 各年齢群に因子分析を施した.その結果成長期の男女の肩部および頸部の形態因子を明らかにし, 体型分類を進めるうえに有効な項目を選出することができた.
    結果 : 肩部・頸部の形態因子として, (1) 肩部や頸付根の大きさを表すfactor, (2) 肩の傾斜を表すfactor, (3) 頸の傾きを表すfactor, (4) 頸の扁平度を表すfactorがとり出された.
    これより体型分類に関するfactorを代表する項目として, 背肩幅, 頸付根囲, 右肩傾斜角, 頸付根角, 頸付根横矢示数の5項目が有効であることがわかった.つづいて第4報では, クラスター分析により体型分類を行った結果を報告する.
  • K, DKについて
    荒川 千恵子
    1987 年38 巻2 号 p. 135-143
    発行日: 1987/02/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    This research was conducted for the purpose of studying living modes and ways of thinking among residents in public housing units in order to find out how public space in a detached house should be designed. This paper consists of an analysis concerning the kitchen space. The research findings are as follows :
    1) Those having a kitchen size of 3, 640 mm by 1, 820 mm express strong unsatisfactory feeling with the space. It is desirable to secure more working space in the kitchen area. Also needed are more useful wall space and the space to install cupboard and other kitchen furniture.
    2) Perception on the smallness of the kitchen space depends on the direction kitchen doors opened to, how dining area and kitchen are separated, and the availability of wall space in kitchen.
    3) Those who have cooking space with 900 mm frontage of the sink express strong unsatisfactory feeling with the space. It is desirable to provide more space for placing electric cooking appliances as well as for the preparation and arrangement of dishes.
    4) Residents are found to have more kitchen furniture than those anticipated at the time of the designing stage. It is desirable to reconsider the space allocated for the kitchen furniture.
  • 福谷 洋子, 木村 友子, 加賀谷 みえ子, 小川 安子
    1987 年38 巻2 号 p. 145-153
    発行日: 1987/02/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    女性の間食の喫食頻度が比較的高いことから, 食生活との関係を調べる目的で, 女子大生170名とその母親150名に間食に関する意識アンケート調査を行い, あわせてその調査対象者の食生活状況の実態を調べるために, 間食をとる女子大生90名とその母親50名に連続3日間の食事と間食の実態調査を行い, 間食と食事との関連を比較検討し, 次の結果を得た.
    1) 間食の喫食率は, 女子大生98.1%では, その母親では94.7%と高率を示し, 両者ともに1日1回以上喫食することがわかった.
    2) 間食の喫食時刻については, 女子大生では「昼休み」, 母親では「3時頃」が最も多く, 両者において喫食時間帯は異なるが, 女子大生と母親ともに「夕食後」が2位で比較的高い傾向にあった.
    3) 間食の喫食状況と理由について, 女子大生では間食が友人とのコミュニケーションに不可欠なものであり, また「空腹」の生理的欲求面や「好きだから」の嗜好面が重視されている.一方, 母親では仕事後の気分転換や「家族とのだんらん」など家族とのコミュニケーションを保つ役割を果たしており, また「雰囲気」の外的環境面や「食習慣性」が根強く関与していた.
    4) 間食として1週間に3回以上喫食している食品は, 女子大生で牛乳・嗜好飲料・果物類・乳菓子類・おかず類・スナック類・軽食の7品目があげられ, 一方, 母親では果物類・嗜好飲料・おかず類・牛乳の4品目であった.また喫食頻度において親子間の相違は女子大生では洋風系統の乳菓子類・クッキーやビスケット類・洋菓子類・チョコレートやガム類など多く好まれ, 一方, 母親では和風系統のあられやせんべい・和菓子類が好まれる傾向がみられた.
    5) 間食の調達方法は, 女子大生・母親ともに, 大部分市販品が購入され, 手作り品のみによって準備する家庭は僅少であった.また市販品購入のさいにはおもに「製造年月日」, 「衛生」, 「色」などに注意が払われているが, 「添加物や栄養素」に対する関心度は比較的薄いように思われた.
    6) 対象者の個人別栄養摂取量は女子大生とその母親ともに個人差は大であるが, 動物性タンパク質・動物性脂肪・ビタミンA・ビタミンB1・ビタミンB2・ビタミンCの摂取が多かった.女子大生では糖質・カルシウム・鉄が不足しており, 母親ではカルシウム不足の傾向が目立った.また間食による栄養補給率は, とくに女子大生に高く, エネルギー・脂肪・糖質・ビタミンB2・ビタミンCなどはその約20%を間食より補う食べかたをしていた.一方, 母親では女子大生より低いが, ビタミンCは約25%を間食より補う食べ方をしていた.
    7) 1週間あたりの間食に費やす費用は, 母親が女子大生よりも高い傾向にあるが, 両者ともに500~999円が最も多い.一方, 実態調査での連続3日間の間食に費やす費用 (贈答品なども市価に換算して含む) の1日あたりの平均価格は, 女子大生では300±176円, 母親では262±168円であり, 母親のほうが低い金額であった.理由として母親は間食の摂取量がやや女子大生より少ない傾向にあったためと思われる.したがって間食に費やす費用において自己の意識と実態とはかなり開きがみられた.
    総合的にみると, 朝食・昼食・夕食の摂取量の不足を必然的に間食で補っている現状のようで, 女性の間食は食事との関連が強いと思われた.食生活において正しく健康維持するためには, 個人が正規の食事を十分にとるように心がけることが望ましく, それには食生活管理上の実践的な栄養指導ならびに間食のとり方についても教育をすることが今後, ますます必要であると考えられる.
  • 内野 澄子
    1987 年38 巻2 号 p. 155-160
    発行日: 1987/02/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
  • 比較家庭科・家政学の断章
    豊村 洋子
    1987 年38 巻2 号 p. 161-168
    発行日: 1987/02/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
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