日本家政学会誌
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示差走査熱量分析による熱帯産澱粉の熱的性質
山田 早苗永島 伸浩川端 晶子
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1987 年 38 巻 7 号 p. 647-650

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抄録
熱帯産澱粉の熱的性質について検討した結果を要約すると, 以下のようである.
1) アミロース含量は, 食用カンナ澱粉が27.1%でもっとも高く, コーン澱粉は25.0%, 馬鈴薯澱粉は23.3%, サゴ澱粉は21.7%, アロールート澱粉は 19.4%, キャッサバ澱粉は18, 3%で低い値であった.平均粒径は, 食用カンナ澱粉が42μmでもっとも大きく, つづいて馬鈴薯, アロールート, サゴ, コーン, キャッサバ澱粉は小さく, それぞれ, 33, 26, 21, 17, 14μmであった.
2) 標準試料として用いた馬鈴薯澱粉の各濃度におけるDSC曲線で, 低濃度では単一ピークであったものが, 高濃度では二つの明瞭なピークが得られた.低温度側の吸熱ピークは, 濃度に影響されないことがわかった.
3) 熱帯産澱粉の50%濃度でDSCを行ったときの吸熱ピークパターンは, 食用カンナ澱粉が馬鈴薯澱粉に近いパターンを示し, アロールート澱粉はコーン澱粉に近いパターンを示した.キャッサバおよびサゴ澱粉は食用カンナとアロールート澱粉の中間のパターンを示した.転移熱量は, キャッサバ澱粉がもっとも低く, つづいてコーン, サゴ, 食用カンナ, アロールート, 馬鈴薯澱粉の順に高い値であった.
4) 各種澱粉のDSC値とフォトペーストグラフィー, アミログラフィーの糊化特性温度を比較した結果, Toはフォトペーストグラムの変化点と比較的近似し, Tpはアミログラムの立ち上がり温度にほぼ近似していた.Tcはアミログラムの最高粘度到達温度より高い値が得られ, 澱粉の糊化過程をより広範囲にとらえられると考えられる.
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