日本家政学会誌
Online ISSN : 1882-0352
Print ISSN : 0913-5227
ISSN-L : 0913-5227
豚脂身水煮におけるショウガの脂質酸化防止効果
河村 フジ子加藤 和子
著者情報
ジャーナル フリー

1988 年 39 巻 7 号 p. 653-658

詳細
抄録

豚脂身にショウガを加えて水煮した場合の脂質の安定性について, 実験を行った結果を要約すると次のとおりである.
1) 対照 (ショウガ無添加脂質) は加熱 (98℃) 3 時間で誘導期が終わる. 一方, 脂身に対して, ショウガを5~ 50% 添加した脂質の POV, TBA 値は加熱4時間後も未加熱油脂に近い.
2) 加熱4時間の脂質を 30℃ で保存すると, 対照は, 17 日間に急速に POV, TBA 値ともに上昇する. 一方, ショウガを 20 または 50% 添加した脂質は, 保存 90 日後でも変化がみられない. ショウガを 5 または 10% 添加した場合でも誘導期が 44 日まで延長される.
3) 加熱4時間の脂質を 30℃ で3日または7日間保存して官能検査を行った結果, 対照のほうがショウガを5% 添加した脂質より酸敗臭が強いことがわかった.
4) 豚脂身中の脂質の脂肪酸組成は, オレイン酸 44%, パルミチン酸 18%, リノール酸 15% であった.
5) 保存脂質の脂肪酸組成を比較すると, 対照はショウガ添加脂質より, リノール酸とリノレン酸の割合が低く, パルミチン酸とステアリン酸の割合が高い.

著者関連情報
© 社団法人日本家政学会
前の記事 次の記事
feedback
Top