日本家政学会誌
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シュー皮の膨化体積に及ぼすシューペーストのレオロジー的性質の影響
森 悦子遠藤 金次
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1988 年 39 巻 7 号 p. 659-664

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抄録

1) シューペーストの油脂材料としてサラダ油を用いると薄力粉・強力粉に比較して, 小麦デンプン・上新粉・コーンスターチの膨化体積は劣った.
2) ふくれ方の異なるシューペーストを, B 型粘度計を用いて粘性と膨化体積との関係を検討したところ, 焙焼時にある程度以上膨化するためには, シューペーストは一定レベル以上の粘度をもつ必要があることが示唆された.
3) 焙焼過程で膨化している時点でのシューペーストのモデルとして, 熱凝固ゲルを調製しレオメーターで粘弾性を測定した. 膨化度の大きいシューペーストから調製した熱凝固ゲルは, 応力-歪み曲線から算出した弾性率が 7-11×105dyn/cm2 で, 破断応力が 2.3-3.2×105dyn/cm2 の範囲にあった.
4) 熱凝固ゲルの応力緩和現象を検討したところ, 2組のマクスウェル模型で近似的に対応できた. 膨化のよいシューペーストからのゲルは, τ1 20~25 秒, E11. 29×106dyn/cm2 以上であり, τ2, E2, η2 も適正な範囲内の値を示した.

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