日本家政学会誌
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バタースポンジケーキの貫入破断特性
川染 節江山野 善正
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1988 年 39 巻 7 号 p. 731-734

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抄録

バタースポンジケーキの貫入破断特性を検討するため, バター添加量を小麦粉に対し 0 ~ 120% とし, 特製茶せん型 (A 試料) とロータリー型 (B 試料) の beater2 種の試料について, レオメーターの貫入圧縮試験と官能検査を実施し, 次のような結果を得た.
1) 破断応力は, バター含量が増加するにつれて 80%までは低下するが, 120% では A 試料が B 試料より大きく上昇し, この変化は, 圧縮試験よるガム性とそしゃく性の変化に類似した.破断ひずみは, バター含量が増加するにつれて S 字曲線的に低下し, 120% の値は0% の約 1/2 になった.
2) 応力/ひずみ比で算出した破断強度は, バター含量 0% はひずみが大きいため, また, 80% の試料は応力が小さいため他の試料より小さい値を示した.破断エネルギーの値は, A 試料はバター含量の増加につれて低下し, B 試料は S 字曲線的に低下し, 破断ひずみの変化に対応した.
3) 貫入圧縮曲線の形状は, beater の種類および貫入圧縮箇所によって異なり, 側面の曲線に脆さを示す特徴がよく現れ, 立ち上がり角度も小さくやわらかいことを示した.
4) 甘味, 口あたり, しっとりさおよび総合評価の各評点は, バター含量 80% が最も高く, 順位法においてもバター含量 80% の試料が最も高く評価され, 0% との間に有意差が示された.破断応力と口あたり, しっとりさおよび総合評価との間に負の高い相関性が得られた.

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