日本家政学会誌
Online ISSN : 1882-0352
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団らん空間に影響を及ぼす諸要因に関する研究 (第2報)
主婦の意識を通してみた団らんの実態
太田 さち河野 安美渡辺 崇子國嶋 道子梁瀬 度子
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1989 年 40 巻 1 号 p. 69-73

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抄録
本報では, 団らんの空間のなかで行われる団らんについて, 主婦がどのようにとらえているかということを明らかにした.その結果, 以下のような知見が得られた.
1) 団らんには属性, とりわけ子供人数とライフ・ステージの影響が大きい.団らんは夕食後に行われることが多いが, 家族人数が多くなると夕食時に行う割合が増える。団らん時間は, 勉強などとの関係か, 子供が中高生の頃最も短くなる.また, 子供が小さい頃は子供の相手=団らんであり, 成長するにつれて, 個人的行為をしながら雑談をするという形へと変化していく.
2) 子供人数が少ないほど, 夕食にそろいやすいほど, 団らん時間が長いほど, 団らん満足度が高い.また, 改善希望については質的改善よりも量的改善のほうがより望まれている.
3) どのような形を団らんと考えるかは, 家族人数, ライフ・ステージにより違いが出てくるが, おおむね母子間の団らんは家族の団らんと同等に考えられ, 逆に夫婦間の団らんは別のものと考えられている.
4) 団らん観をもとに, 団らんのタイプ分けを行った結果, 三つのクラスターに分かれた.クラスターAは年齢層が低く主として夫婦のみの団らん, クラスターBはA, Cの問の過渡的性格を有しており, 子供中心のにぎやかな団らん, クラスターCは, 最も年齢層が高く日々落ち着いた生活を営んでいる家庭における団らんである。これらは, 二つ, 三つが組み合わされた複合型も多く存在していると考えられる.
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