日本家政学会誌
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40 巻, 1 号
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  • -大都市ニュータウンにおける生活時間調査から-
    天野 寛子, 大竹 美登利, 伊藤 セツ, 森 ます美, 瀬沼 頼子, 居城 舜子, 鈴木 敏子, 天野 晴子
    1989 年40 巻1 号 p. 3-13
    発行日: 1989/01/05
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    1) 平日の父親と子どもの共有時間は非常に少なく, <父親不在>を裏づける.共有時間の大部分は, 食事による共有である.
    2) 平日の母親と子どもの共有時間は多く, その大部分は家事をしているときそばにいるという形の共有である.
    3) 土曜・休日には父親と子どもの共有時間は多く, 共有される行動の種類も多い.
    4) 土曜日が休日の場合, 父親と子どもの共有時間は, 著しく増加する.
    5) 父親と子どもの共有時間の大部分は, 同時に母親とも共有されている.
    6) 妻の職の有無別・勤務形態別に比較すると, 妻無職世帯の父親は平日には共有時間が最も少なく, 休日には最も多くなり, 妻常勤世帯の父親は, 平日に多く休日には少なく, 妻パート世帯の父親は, その中間にある.
    7) 共有行動の種類別の比較では, 妻常勤世帯の父親も母親も共有行動の種類が多い傾向がある。
    8) 共有時間のうち母親が同時にその場にいない<父と子のみ>で共有される時間は, 妻常勤の世帯に多い.
  • -無機塩, 有機酸, 糖, フェノール, L-アスコルビン酸および過酸化水素の影響-
    津久井 亜紀夫
    1989 年40 巻1 号 p. 15-22
    発行日: 1989/01/05
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    フィリピン産紫ヤム (UBE : ヤマノイモ科) および紫甘藷 (SP) から, 塩基性酢酸鉛法, イオン交換樹脂およびエーテル沈殿法により粗 AN 色素を抽出した.またブドウ (GJ), 赤キャベツ (RC), 紫コーン (pc) のANも同様に精製し粗AN色素が得られた。これらの粗ANに無機塩, 有機酸, 糖, フェノール類, L-アスコルビン酸, 過酸化水素を添加し, その影響について比較検討した.
    1) 各種AN液 (pH 3.0) に無機塩を添加すると, その色調は赤色を濃くするが, 硫酸第一鉄および硫酸銅では各種AN液ともオレンジ色および青色へと変化した.またSPは吸光度が飛躍的に増大し, ついで PC, RCで, UBEおよびGJは認められなかった。しかし無機塩のうちミョウバンでは各種ANとも吸光度の増大が認められた。加熱による各種ANの退色率は RCおよびUBEが低く, 比較的安定であった。
    2) 各種AN液 (pH 3.0) に有機酸を添加すると, その色調は濃赤色へと変化した。また, ほとんどの ANは有機酸の濃度が高くなることにより吸光度が増大した。また一塩基酸, 二塩基酸および三塩基酸となるにしたがって各種ANの吸光度が増大した.とくにUBEおよびSPは他のANより吸光度の増加が著しかった.加熱した場合の退色率はUBEが最も低かった.
    3) 各種AN液 (pH 3.0) に各種糖を添加したときの吸光度はGJ, pcおよびUBEが増大した.そして糖濃度と吸光度の間で直線関係が認められた.SPは吸光度の増大が認められなかった.加熱したときの各種ANの影響はUBEが最も安定であった.しかし各種ANとも, その退色率は無添加に比べて高く, 不安定であった.
    4) 各種AN液 (pH 3.0) にフェノール類を添加し加熱したときの影響は, UBEの退色率が他のANに比べて, すべて低く安定であった.しかし没食子酸添加は他のANと比較して退色率にそれほど差が認められなかった.
    5) 各種AN液 (pH 3.0) にL-アスコルビン酸および過酸化水素を添加し, 室温に7日間おくと, 各種ANとも日数の経過にともなって分解された.しかしL-アスコルビン酸ではUBEが最も色素残存率が高く, 過酸化水素では色素残存率が低かった。
  • 竹井 よう子
    1989 年40 巻1 号 p. 23-34
    発行日: 1989/01/05
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    ごま特有香の発生要因を知るため, ごまをヘキサンにより二つに分画し, ヘキサン不溶の R1 画分をさらに溶媒抽出により三つに分画した.これらの画分を個々に, あるいは種々の組合せで混合して焙焼テストを行い, そのヘッドスペースベーパーをガスクロマトグラフにより分析した。抽出残査 R2 画分を焙焼した香気濃縮物を調製し, ガスクロマトグラフ直結質量分析を行い, 香気成分の同定に資した.すりごまをヘキサンで2分画し, その両方 (RIとK) を混合し焙焼すると官能的には炒りごま香が感じられたが, GLC 分析では, 妙りすりごまのアロマパターンと同一ではなかった.しかし, R1+Hの焙焼テストの香気と炒りすりごまの香気には含まれるが, R1 画分の焙焼香には含まれない成分が4種みられた.このうちに, 前報でごま特有香に関連があると考えられた未知のピーク No.81 の成分が含まれており, その他は, ピラジン類とメチルフランであった.
    R2 画分はピラジン類やフラン類を含みこうばしい焙焼香を発生させ, R1 画分と大きなちがいは見られなかった. C 画分は含硫化合物とシクロテンの発生を増加させ, 甘さやしつこさを増すと思われ, M 画分はラクトン類やシクロテンの発生に寄与し, 甘さを増すと考えられた. H 画分は, それのみの加熱では酸敗油臭を発生するのみであるのに, R1 や M 画分に加えられると炒りごま香やバターケーキ香を発生させ, ピラジン類の増加と, ピーク No.81 の成分の発生が認められた.
    以上のことから, 妙りごま香発生には, ヘキサン分画した 2 画分ともに必要であったが, M 画分は甘いみそ香に加えわずかに炒りごま香を発生させ, 炒りごま香発生にも, 甘い焙焼香発生にも寄与し, とくに重要と考えられた.
  • 中沢 文子, 高橋 淳子, 高田 昌子
    1989 年40 巻1 号 p. 35-39
    発行日: 1989/01/05
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    底面が正方形の食品を電子レンジで加熱したときの温度分布の計算を試みた.マイクロ波の侵入深度d, 辺の長さを2aとし, d/aをパラメータとして等温線と, 辺, 中心線, 対角線に沿っての温度変化を求めた.すべての場合に四隅が昇温し, 中心付近が最も昇温が遅れることが示された。とくにd/aが小さいとき, すなわち電波の侵入深度が短いときには四隅の昇温が顕著であり, 周辺部も優位に昇温した.d/aが1程度以上では比較的均一に昇温し, 円形に近い等温線が得られた.計算結果は45℃に曇点をもつ界面活性剤入りのアドヘア糊を用いた実験により確かめられた.容器に入れた糊の高さがマイクロ波の波長と同じくらいの高さの場合には, 電子レンジのターンテーブルの有無の無関係に, 辺に平均な昇温パターンが得られた.
  • 大谷 貴美子, 松本 直子
    1989 年40 巻1 号 p. 41-47
    発行日: 1989/01/05
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    Schefféの単位格子方格法を参考にして材料の配合割合を決め, 低タンパク小麦粉を用いたクッキーを調製し, それらの特性を検討した.
    1) レオメーターを用い, かたさを破断応力として求めたところ, 低タンパク小麦粉を用いたクッキーは, 普通小麦粉を用いたクッキーに比し, 破断されやすく, マーガリンの配合比が低く, 砂糖の配合比が高くなるほど, かたいクッキーになる傾向が認められた.
    2) デジタルカラーメーターを用いて, クッキーの焼き色を測定した結果, 低タンパク小麦粉を用いたクッキーは, 普通小麦粉を用いたクッキーに比し, 白色度, 明度は高値を示した.また, 低タンパク小麦粉の割合が高いクッキーほど, 白色度, 明度ともに高値を示した.
    3) クッキーの吸水率は, 低タンパク小麦粉を用いた場合のほうが普通小麦粉を用いた場合より高値を示し, 小麦粉の割合が同一の場合, 砂糖の配合比の高いものほど, 高値を示す傾向が認められた.
    4) 低タンパク小麦粉の割合が, 40% と 50% のクッキーについて, 順位法を用いて官能検査を行ったところ, いずれも, 格子点 (2) (マーガリン, 砂糖, 卵の配合水準, 0, 1, 0) のクッキーの嗜好性が低値を示した以外, ほとんど嗜好性に差は認められなかった.エネルギー供給という面と比較的嗜好性が高値を示したという面から考えると小麦粉の割合が40%の格子点 (4) (マーガリン, 砂糖, 卵の配合水準 2/3, 1/3, 0) のクッキーが今回調製したもののなかでは最も利用目的に適したクッキーと考えられた.
  • 動作に適応したスタンドカラーのゆとりと製図方法
    増田 智恵
    1989 年40 巻1 号 p. 49-60
    発行日: 1989/01/05
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    In this paper, the sensory test to find the best fit ease of standing-collar for moving the neck comfortably was examined. By using those data of the previous paper, some conditions of the ease were assigned into the orthogonal array of L27. The judgements were analyzed with the cumulative frequency method.
    The results were as follows :
    1) The allowance for moving the neck comfortably was added to the front parts of lateral and medial in both neck-line and edge-line. Especially for the neck retroflexion and anteflexion, allowances were needed more than them on the other neck movements. The allowances, therefore, should be designed to draft the standing-collar for wearing condition.
    2) For the ease conditions draft of the standing-collar was as follows :
    i) The best fit ease for the neck movements and the look of the standing-collar in neck standard position : each allowance for side neck point of bodice neck-line : 0.5 cm, for front neck point of bodice neck-line : 1 cm, for standing-collar neck-line/2 : average 1. 5 cm, for front edge-line/2 : 1 cm.
    ii) The best ease for the neck retroflexion and anteflexion : each allowance for side neck point of bodice neck-line : 1 cm, for front neck point of bodice neck-line : 1 cm, for standing-collar neck-line/2 : average 2. 15 cm, for front edge-line/2 : 2 cm.
  • 団らん空間の実態
    梁瀬 度子, 國嶋 道子, 渡辺 崇子, 河野 安美, 太田 さち
    1989 年40 巻1 号 p. 61-67
    発行日: 1989/01/05
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    本研究は, 団らん空間に影響を及ぼす要因を抽出する目的で調査を行った.本報では, まず, 団らん空間の実態について分析を行った.結果を要約すると以下のとおりである.
    1) 団らん空間の場所, 団らん空間と接客空間との兼用状態は, LDKタイプとの関連で決定される.
    2) 季節による生活様式 (室の様式, 起居様式) の変化が認められる.室の様式と起居様式との間には高い相関があるが, それは集合住宅より戸建住宅で, 冬より夏で高くなっている.しかし, 若い世代を中心に, 洋風でゆか座, 和風で椅子座などの自由なしつらいが浸透しはじめている.
    3) 戸建住宅では団らん空間に応接セット等の大型家具が置かれやすく, 集合住宅よりも画一的な住まい方がなされている.とくに, 応接セットを置いている場合は, より画一的となり, ソファ, テーブル・座卓などを置いている場合は, 自由なしつらいがされやすい.また, 洋風, 椅子座の場合, よりたくさんの家具を置く傾向にある.
  • 主婦の意識を通してみた団らんの実態
    太田 さち, 河野 安美, 渡辺 崇子, 國嶋 道子, 梁瀬 度子
    1989 年40 巻1 号 p. 69-73
    発行日: 1989/01/05
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    本報では, 団らんの空間のなかで行われる団らんについて, 主婦がどのようにとらえているかということを明らかにした.その結果, 以下のような知見が得られた.
    1) 団らんには属性, とりわけ子供人数とライフ・ステージの影響が大きい.団らんは夕食後に行われることが多いが, 家族人数が多くなると夕食時に行う割合が増える。団らん時間は, 勉強などとの関係か, 子供が中高生の頃最も短くなる.また, 子供が小さい頃は子供の相手=団らんであり, 成長するにつれて, 個人的行為をしながら雑談をするという形へと変化していく.
    2) 子供人数が少ないほど, 夕食にそろいやすいほど, 団らん時間が長いほど, 団らん満足度が高い.また, 改善希望については質的改善よりも量的改善のほうがより望まれている.
    3) どのような形を団らんと考えるかは, 家族人数, ライフ・ステージにより違いが出てくるが, おおむね母子間の団らんは家族の団らんと同等に考えられ, 逆に夫婦間の団らんは別のものと考えられている.
    4) 団らん観をもとに, 団らんのタイプ分けを行った結果, 三つのクラスターに分かれた.クラスターAは年齢層が低く主として夫婦のみの団らん, クラスターBはA, Cの問の過渡的性格を有しており, 子供中心のにぎやかな団らん, クラスターCは, 最も年齢層が高く日々落ち着いた生活を営んでいる家庭における団らんである。これらは, 二つ, 三つが組み合わされた複合型も多く存在していると考えられる.
  • 松本 直子, 大谷 貴美子
    1989 年40 巻1 号 p. 75-80
    発行日: 1989/01/05
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    粉アメおよびMCTを0~40%の範囲で0.5%の粉末寒天ゲルに添加し, 両者のゲルに及ぼす影響を検討するとともに, ショ糖12%, MCT 20%添加ゲルの甘味料としてのショ糖の一部を粉アメにおきかえた場合の粉アメの適正使用量について, 物性および嗜好性の両面より検討を行った.
    1) ゲルの粘弾性については, クリープ曲線より解析した.
    弾性率は, 粉アメの影響を強く受け, 粉アメ添加濃度の上昇に伴い値は上昇し, 粘性率は, MCTおよび粉アメの両者の増加に伴い上昇した.
    また, MCT 20%添加ゲルにショ糖と粉アメを併用した場合, 弾性率には, ほとんど変化が認められなかったが, ニュートン流体の粘性率は, 粉アメ添加量が多くなるほど高値を示した。また, カードメーターによる, ゲルのかたさと破断力の測定結果より, いずれも, ショ糖添加量が少なく, 粉アメ添加量が多くなるほど, 値が上昇することが示された.
    2) ゲルの色の測定結果では, MCT添加ゲルでは, 粉アメの添加量増加に伴い, 黄色度は上昇傾向を示し, 20% MCT添加ゲルに, ショ糖, 粉アメを併用した場合も, 粉アメ添加濃度がふえるに従って, 黄色度は上昇傾向を示した.
    3) 評点法により, 20%のMCT添加ゲルの嗜好性を検討した結果, 粉アメ10%, ショ糖10%添加したゲルは, 弾力性, 甘さ, 舌ざわり, あとくち, 総合評価において, 基準ゲル (ショ糖12%, 粉アメ0%添加) よりも, 有意に (p<0.05) 好まれた.
  • 本宮 達也
    1989 年40 巻1 号 p. 87-93
    発行日: 1989/01/05
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
  • 1989 年40 巻1 号 p. 98
    発行日: 1989年
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
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