日本家政学会誌
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にんじん食物繊維の調理による変化がミネラル利用に及ぼす影響
斎藤 洋子佐藤 咲子大岩 泰子
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1989 年 40 巻 12 号 p. 1039-1044

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抄録
野菜食物繊維は調理により質的にも変化することが予想され, その変化が, カルシウム, マグネシウムの利用にいかに影響するかを検討した.
1) 生および妙めたにんじんをホモジナイズ後, アセトンおよびエーテルで脱水, 脱脂したものを食物繊維とした.この生および妙めたにんじん食物繊維は酵素一重量法で測定した繊維を乾物中それぞれ62, 55%含んでいた.
2) 生および妙めにんじん食物繊維含有飼料およびセルロース添加標準飼料で5週齢ラットを2遍間飼育し, 終末3日間の糞尿を採取した.飼料および糞尿のカルシウム, マグネシウムは原子吸光法により定量した.
3) 生食物繊維では妙め食物繊維群およびセルロース添加標準群より糞重量, カルシウムおよびマグネシウム総排泄量が有意に増加し, そのためカルシウム, マグネシウムの吸収率および出納は他の2群より有意に低下した.
以上, にんじん食物繊維は妙めることにより何らかの質的変化がおこり, それがミネラルの利用に対し, 生の場合と異なる影響を及ぼすことが示唆された.
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