日本家政学会誌
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加熱肉からのスープストック中への溶出タンパク質の由来について
田島 真理子三橋 富子妻鹿 絢子荒川 信彦
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1989 年 40 巻 2 号 p. 121-125

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抄録
牛もも肉より調製したスープストック中のタンパク質成分の由来を検討することを目的に, SPおよび NSFの加熱を行い, 加熱可溶性タンパク質の分析定量を行った.その結果, スープストック中には, 肉1gあたり約4.5~6.5mgのタンパク質が溶出しており, 分子量40,000, 23,000, 10,000 daltonのタンパク質がみられた.SPの加熱では約10%のタンパク質が加熱凝固せず, 可溶化したままで存在しており, それらは分子量約10,000 daltonのSPの分解物が主であった.NSFの加熱においては, 加熱時間の増加につれ可溶性タンパク質が顕著に増加し, 3時間加熱したものでは肉1gに換算すると約1.4mgのタンパク質が溶出しており, それらは分子量40,000, 20,000, 10,000 daltonのタンパク質であった.これらのタンパク質のSDS-PAGEパターンはスープストック中のタンパク質のパターンと近似していた.これらの結果からスープストック中の分子量40,000 dalton, 23,000 daltonのタンパク質はNSF に由来し, 10,000daltonのタンパク質はNSFとSPの両老に由来していると推定された.
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