日本家政学会誌
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40 巻, 2 号
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  • 滝田 聖親, 中村 カホル, 早川 享志, 福富 麻子, 西郷 光彦, 印南 敏
    1989 年40 巻2 号 p. 99-105
    発行日: 1989/02/05
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    コーン油とラードの混合割合を段階的に変え, P/S比の異なる油脂を調製し, ラットに投与した場合の血清および肝臓の脂質代謝変動ならびに血清, 肝臓, 睾丸および副睾丸周辺脂肪組織の脂肪酸代謝の変動を中心に検討し次の結果を得た.
    1) 血漿脂質では試料油脂のP/S比が減少するにつれて PL と TC は低下, TG は上昇, HDL-Cho は有意な変動が認められなかった.
    肝臓のTG, TCおよびPLのいずれもP/S比の変動につれて有意な変動が認められなかった.
    2) 飼料脂質のP/S比の増加に伴い血漿ではC18 : 2の割合とC20 : 4の割合との割合が増加したが, 肝臓ではC18 : 2の割合のみ増加した.
    3) 副睾丸周辺脂肪組織のC18 : 2の割合は飼料脂質のP/S比が増加するにつれて増加した.
    4) 睾丸におけるC18 : 2の割合とC20 : 4の割合は飼料脂質のP/S比の変化にもかかわらず, ほぼ一定の値を示した.
    5) 飼料脂質のP/S比が上昇するにつれて, 各組織のC20 : 4/C18 : 2比は, 血漿では変動せず, 肝臓では漸減, 睾丸ではP/S比1.5まで減少, それ以降わずかに増加傾向を示した.
  • 青木 みか, 辻原 命子
    1989 年40 巻2 号 p. 107-113
    発行日: 1989/02/05
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    ハトムギを茎葉, 脱脂根, 糠, 胚乳, もやし, 脱脂糠, 糠油, 青汁粉末 (GP) の8分画に分け, Chol 1%を含む試験飼料にそれぞれ20%添加してSD系ラットを2週間飼育し, 次の結果を得た.
    1) 体重増加率は対照区に比べて, 分画8区とも有意差が認められないが, 脱脂根区とGP区ではやや低下する傾向を示した.
    2) 血清HDL-Cは茎葉区を除いて他の7区はいずれも対照区より有意に高い値を示し, 血清 T-Chol はもやし区とGP区で低下の傾向を示し, 動脈硬化指数は対照区に比べて胚乳・もやし・脱脂糠・糠油・GP区で有意に低い値を示した.血清TGは脱脂根・胚乳・糠油区が対照区より高い値を示したが, 他の分画には有意差が認められなかった.またGP区は肝組織の TL, TG, Cholも他の8区より低下の傾向を示した.
    以上の結果よりみて, ハトムギ茎葉の圧搾汁に高脂血症抑制成分の存在することが推測される.
  • -蝶豆花アントシアニン色素との比較について-
    津久井 亜紀夫, 小林 恵子, 斉藤 規夫
    1989 年40 巻2 号 p. 115-119
    発行日: 1989/02/05
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    フィリピン酸紫ヤム塊根粉末中のアントシアニン色素の安定性に関する研究の一環として, 蝶豆花アントシアニン色素とpH, 温度, 紫外線ならびに窒素ガス中での貯蔵における影響について検討し, 下記の結果が得られた.
    1) UBEおよびPAのANの23日後の色素残存率は, それぞれ 30℃ で 97% と 77%, 60℃ で 61% と 30%であった. 90℃ では4~5日でほとんど分解された.
    2) UBEおよびPAのANをアンプル管に入れ, 60℃で23日間加熱した.空気中での色素残存率はUBEが62%, PAが30%であったが, 窒素中では, それぞれ約85%で安定であった.
    3) UBEおよびPAのAN溶液に殺菌灯を直接照射した場合は6時間後約20~30%の色素残存率であったが, アンプル管中のPAの色素残存率は100%, UBEが約95%で安定であった.また屋外に放置した場合は両ANとも1日間で分解退色した.
    4) PAのAN溶液に各種添加物を添加し, 加熱した結果, とくにレアスコルビン酸および過酸化水素水によって, 分解退色した.
    以上の結果, UBEのANは, ANの中では温度には比較的安定で紫外線照射さえ避ければ十分に加工食品への利用が可能であると考える.
  • 田島 真理子, 三橋 富子, 妻鹿 絢子, 荒川 信彦
    1989 年40 巻2 号 p. 121-125
    発行日: 1989/02/05
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    牛もも肉より調製したスープストック中のタンパク質成分の由来を検討することを目的に, SPおよび NSFの加熱を行い, 加熱可溶性タンパク質の分析定量を行った.その結果, スープストック中には, 肉1gあたり約4.5~6.5mgのタンパク質が溶出しており, 分子量40,000, 23,000, 10,000 daltonのタンパク質がみられた.SPの加熱では約10%のタンパク質が加熱凝固せず, 可溶化したままで存在しており, それらは分子量約10,000 daltonのSPの分解物が主であった.NSFの加熱においては, 加熱時間の増加につれ可溶性タンパク質が顕著に増加し, 3時間加熱したものでは肉1gに換算すると約1.4mgのタンパク質が溶出しており, それらは分子量40,000, 20,000, 10,000 daltonのタンパク質であった.これらのタンパク質のSDS-PAGEパターンはスープストック中のタンパク質のパターンと近似していた.これらの結果からスープストック中の分子量40,000 dalton, 23,000 daltonのタンパク質はNSF に由来し, 10,000daltonのタンパク質はNSFとSPの両老に由来していると推定された.
  • スクアレン・汗の測定法の一試案
    高野倉 睦子, 神山 恵三
    1989 年40 巻2 号 p. 127-130
    発行日: 1989/02/05
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    環境条件が皮脂や汗の分泌に及ぼす影響について部位別に検討するために, 人工気候室において皮脂をオスミウム酸法で, 汗をウォーター・ブルー法で測定し, 次の結果を得た.
    1) 活動脂腺数は測定部位によって異なり, 胸より額のほうが多く, 環境温度の上昇に伴い直線的に増加した.
    2) 高湿度 (80% R. H.) の環境で皮膚温が 10℃上昇すると活動脂腺数は6%程度増加した.
    3) 皮脂の分泌は環境温度ばかりでなく湿度の影響をも受け, 高温多湿なほど多いことが明確となった.
    4) 発汗は測定部位によって異なり, 胸>前腕>額の順に多い傾向を示した.
    5) 発汗は環境温度ばかりでなく湿度の影響を受け, 高温多湿なほど多く, 最多発汗量は 40℃・ 80% R. H.の環境における胸の 2.6×10-3ml/2 cm であった.
    オスミウム酸法は半定量的測定法であるため, スクアレンの正確な分泌量を把握できなかったが, 被服環境における皮膚からの皮脂の分泌傾向を把握するのにかなり有効で, しかも簡便な手法であると考える.
  • 川端 博子, 酒井 豊子, 石川 欣造
    1989 年40 巻2 号 p. 131-135
    発行日: 1989/02/05
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    1) 動的方法により上腕, 前腕, 大腿位でかたさの計測を行った.身体は非線型形の粘弾性がみられ, 解析が困難な対象であることがわかった.振幅量を少なくしてかたさの計測を行い, 線型の粘弾性体に近似しみかけの弾性係数と粘性係数を求めた.その結果, 人体は押し込み量と共に弾性係数も粘性係数も増す傾向がみられた.しかし, 部位間で特性は大きく異なることがわかった.
    2) 圧迫前後で人体のかたさを計測し比較を行った.圧迫直後には表皮付近でかたさが増したが変化の度合は少ないとみられた.
  • 藤原 康晴, 藤田 公子, 山本 昌子
    1989 年40 巻2 号 p. 137-143
    発行日: 1989/02/05
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    この研究は, 女子学生と中年女性を対象として服装規範に対する態度 (私的見解), 服装規範に対する世間の評価への想定である主観的規範 (社会的評価) および独自性欲求を測定し, (1) 服装規範に対する重要性の認知, (2) その認知の女子学生と中年女性による違い, (3) 服装規範に対する態度と主観的規範とのずれ得点の大きさと独自性欲求との関連性を検討した.服装規範に対する態度と主観的規範の測定は, 学校の制服, 場面, 職場, 性別, 年齢に関連した服装, 肌の露出, 和服の7因子について行った.各規範項目は「非常に大切」から「どちらかといえば大切でない」まで, 項目によってかなり大きく異なった評定がなされ, 服装に関する規範を, 厳しく認知されている規範から比較的ゆるやかに認知されている規範まで順序づけることができた.
    また, 服装規範に対する態度得点と主観的規範得点のずれを測定したところ, 中年女性よりも女子学生のずれ得点が大きく, 女子学生は服装規範に対してより自由な態度をもっていることがわかった.
    次に, 独自性欲求を測定する28項目への反応に基づいて, 対象者を独自性欲求の高, 中, 低グループに分割し, 服装規範7因子について上記のずれ得点の各グループの平均値を算出した.この平均値が独自性欲求の高, 中, 低グループによって異なるかどうかを分散分析した結果, 服装規範7因子のうちの5因子に違いが認められ, 独自性欲求の強い者ほど服装規範に対する主観的規範と態度のずれが大きいことがわかった.さらに, 独自性欲求の高低によってすべての服装規範, 27項目に対する主観的規範得点および態度得点に違いがあるかどうかを分散分析した結果, 主観的規範得点に違いはみられなかったが, 態度得点に違いのあることが認められた.したがって, 上述の服装規範に対する態度と主観的規範とのずれの独自性欲求の高低による違いには, 主として態度得点の違いが寄与していることがわかった.
  • 生活時間・生活行為からみた団らんの実態
    太田 さち, 河野 安美, 國嶋 道子, 梁瀬 度子
    1989 年40 巻2 号 p. 145-150
    発行日: 1989/02/05
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    本報においては, 生活時間・生活行為という面から団らんについての客観的把握を試み, 団らんの実態に影響を与える要因を抽出した.また, 意識上の団らん時間との対応をみ, 主婦が何をもって “団らん” と考えているのかをさぐった.
    その結果, 以下のような知見が得られた.
    1) 主婦の意識上の団らん時間は平均約2時間であり, これはLDKに全員そろうかまたは一人欠けてそろう時間と一致する.それには, 主婦が団らんに家事をしながら “ながら参加” をしている場合も含まれる.しかし, 主婦は “ながら参加” を団らんと認めてはいるものの, その時間は団らんとしては満足な状態ではなく, 質が問題になるといえよう.また, 意識上の団らん時間が短い人ほど “団らん” とは家族全員そろうか一人欠ける程度でそろい, 共通行為を行っている状況であると考えている.
    2) 集合住宅のほうがあつまり時間と団らん時間の差が大きく, 戸建住宅よりLDK空間がさまざまなことに利用されていると考えられる.
    3) 余室数が多いとLDKにおける団らん時間が短くなり, 逆に室数の不足は団らん空間の多面的な利用を促している.また, 生活形態の影響も受けており, 子供が小さかったり大人だけの世帯で団らん時間が長く, 子供が中高生の頃最も短い.
    4) L, D, K の結びつきが密接なほど時間が長く, セパレートタイプのようにLからDやKをまったく分離してしまうと, 主婦の団らんへの家事をしながらの “ながら参加” を陽害する.主婦の団らん参加を阻害しない程度にLからKへの視線を分離するタイプが, 今後望ましいといえる.
  • 川染 節江, 山野 善正
    1989 年40 巻2 号 p. 151-155
    発行日: 1989/02/05
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    バタースポンジケーキのテクスチャーに及ぼす卵黄含量と膨化剤の影響を検討するために, 卵200g, 上白糖100g, 薄力粉100g, バター80gを基本配合とし, 卵200gのうち, 卵黄含量を0, 15, 30, 45, 60%の5試料で, 膨化剤0.5g添加と無添加について実験し, 次のような結果が得られた.
    1) 生地の比重は, 卵黄含量が0から45%へ増加するにつれて小さくなり, ケーキの比容積は逆に卵黄含量が増加するにつれて大きくなった.
    2) 「かたさ」, 「ガム性」, 「そしゃく性」は, 卵黄含量30%までは急激に, 30%以上では緩慢に低下した.「凝集性」および「弾力性」の値も卵黄の増加につれ低下し, 「凝集性」, 「かたさ」, 「ガム性」および「そしゃく性」は, ケーキの比容積との間に負の相関性が高かった.これらの結果に膨化剤添加の明確な効果は認められなかった.
    3) 両極7点法による官能評価は, 卵黄含量30および45%の試料が高く, 0および60%のものが低く, 順位法による好ましさの評価と傾向が一致した.
    4) 「色のよさ」, 「口あたり」, 「しっとりさ」, 「総合評価」と, レオメーターによる5パラメータのうち, 「かたさ」, 「ガム性」, 「そしゃく性」との間にそれぞれ有意な負の相関性が得られた.
    5) バタースポンジケーキのテクスチャー管理に, 卵黄含量のコントロールが有効な手段であり, 通常の全卵中の卵黄含量約34%から約10%多い45%までの含量からよい製品を得ることが明確になった.
  • 田中 十一子, 斎藤 祥子, 武藤 八恵子, 住田 和子, 藤原 康晴, 桑原 敏子, 牧野 カツコ, 内藤 道子, 村尾 勇之
    1989 年40 巻2 号 p. 157-163
    発行日: 1989/02/05
    公開日: 2010/04/23
    ジャーナル フリー
    今回は, 前回に続いて会員から寄せられた意見を掲載する.本シリーズは, ひとまずこれで終了するのであるが, 21世紀に向けてこれからの家庭科教育の果たす役割は, 人間にとってもっとも相応しい生活諸条件を整えていくためにきわめて重要である.これからの家政学の消長は, この問題の成否にかかっているというのが, 今回のシリーズの命題であった.ご協力くださった先生方に厚く感謝申し上げると共に, 本シリーズが各局面における組織的対応の契機になることを祈念して終わりとしたい.
  • 水出 通男
    1989 年40 巻2 号 p. 165-169
    発行日: 1989/02/05
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
  • 田村 照子
    1989 年40 巻2 号 p. 171-175
    発行日: 1989/02/05
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
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