日本家政学会誌
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耐洗濯性防炎加工の性能向上に関する研究
助剤の添加効果
中西 茂子青木 千賀子
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1991 年 42 巻 1 号 p. 67-74

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抄録

代表的な防炎性能付与因子であるN, P, Sの元素の作用と, それらの量的関係から防炎性能の向上や耐洗濯性付与などの点について検討を行った.その結果を要約すると次のようになる.
(1) 各種助剤の検討に先立ち, 防炎加工剤Pyの濃度について検討を行ったが, その結果32%が適当であることがわかった.しかし, Pyのみではもちろん, N源, P源, S源各単独の添加でも十分な防炎性能が期待できず, N源とP源, あるいはN源とS源の両者を含む助剤を添加する必要性が認められた.
(2) N 量に関しては, N源としてヘキサメチロールメラミンが最も良好な値を示し, 防炎性能, 物性の点から8%が適当な濃度であることが認められた.さらに樹脂以外のN源として尿素と塩化アンモニウムを添加したが, その結果LOIの向上が認められた.
(3) P 量に関しては, P源としてオルソリン酸が適当であり, 強度およびLOIの面からその濃度は2%が最も良好な結果を与えた.
(4) S 量に関しては, S源としてスルファミン酸を用い, 0.5%が適当な濃度と考えられた.また, 防しわ効果の向上に寄与することが認められた.
(5) 以上の結果から, N, P, Sの相互作用についてまとめると, 常にNが支配的要因であること, またこのときPの添加量が一定値以下であると防炎性能が劣るが, 過剰な添加は強度以下をもたらすこと, Sの過剰添加はNの付着を防げ, 防炎性能を低下させることなどがあげられる.
今回の一連の実験中, Py 32%にヘキサメチロールメラミン8%, 尿素1%, 塩化アンモニウム0.5%を添加したものが, 良好な条件であることが認められた.含有量としては, P10mg/g, N20~30mg/gのとき最も良好な結果が得られた.

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