日本家政学会誌
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冷凍厚衣コロッケの破裂の機構
長尾 慶子杉山 智美畑江 敬子島田 淳子
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1991 年 42 巻 12 号 p. 1059-1064

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抄録
冷凍処理したコロッケの破裂の機構は室温試料の場合と異なることが推測されたので, とくに2および3mmの厚衣試料について破裂の機構を検討した結果, 以下の結論を得た.
(1) 冷凍すると外皮に脆性が生じ, 強度が弱くなり, 内容物の保水性が低下して皮下に遊離水が集まりやすい環境になる.
(2) 冷凍したコロッケ外皮は, 未冷凍の室温試料外皮に比べて厚さが不均一で組織もポーラスであった.その結果2mm衣コロッケでは, 外皮の局所的に薄い部分で高温になり, 皮下の遊離水のため飽和水蒸気が急激に高まり, 表層部破裂を引き起こすと考えられる.
(3) 3mm衣コロッケでは, 外皮が厚いため皮下の遊離水が高温になることは避けられるが, 外皮が脆性のため内容物のわずかな膨張でも皮は最も弱い部分で局所的に亀裂を生じ, 全体破裂に至ると考えられる.
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