日本家政学会誌
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THPSを用いた耐洗濯性防炎加工に対する加工条件の設定 (第2報)
熱キュアの場合
中西 茂子大河内 文子
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1992 年 43 巻 2 号 p. 129-137

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抄録
世界的に汎用されている耐洗濯性防炎加工, ピロバテックス加工, プロパン加工に加えてTHPS単体を熱キュアにより防炎加工をほどこす方法について, 綿, レーヨンに対する加工条件を種々検討して次の結果を得た.
(1) THPSの濃度は綿に対しては25%, レーヨンに対しては32%が最も妥当と考えられた.
(2) pH調整用塩基としてはトリエタノールアミンが良好な結果を与えた.
(3) 樹脂としては綿にはG系樹脂, レーヨンにはM系樹脂がより有効であり, これは樹脂加工効果と密接な関係があることが認められた.
(4) 尿素添加は防炎性能の向上のみでなく強度低下抑制にも有効であることが示された.
(5) キュアリング条件としては, 180℃は加工剤の分解をもたらすため使用不可能であるが, 150~160℃で5minという条件より140℃, 20minのように低温で緩慢に時間をかけて加熱したほうが防炎性能向上により大きく寄与することが認められた.これは樹脂加工時の加熱条件の影響とまったく同じ挙動で, 樹脂と繊維との反応性が防炎性能にも大きく寄与することが示唆された.
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