日本家政学会誌
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牛肉の熟成に伴う食味の変化
島田 淳子綿貫 美奈子谷澤 容子畑江 敬子
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1992 年 43 巻 3 号 p. 199-206

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抄録
1cm厚さの牛肉のサーロイン肉 (胸最長筋) を0℃で2日から14日間熟成した.熟成した生肉および, これを209℃で90秒焼いた肉の物理的特性 (勢断力価, 硬さ, 凝集性, 針入度, 保水性), 5'-IMP含量, 有機酸量および遊離アミノ酸とオリゴペプチド態アミノ酸の量と組成を測定した.また, 官能検査により, 加熱した熟成肉の軟らかさ, うま味の強さ, 総合的好ましさなどが評価された.この結果, 熟成により軟らかさは, 官能評価においても, 客観測定においても顕著に増加した。うま味に関与するグルタミン酸量および5'-IMP量は熟成により, 前者は増加, 後者は減少した.両者の量より算出した呈味強度は熟成により増加したが, 官能評価におけるうま味の強さには熟成による有意の増加が認められなかった.以上より, 官能評価におけるうま味の強さにはGlu, 5'-IMP以外の成分の寄与が示唆された.
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