日本家政学会誌
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43 巻, 3 号
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  • 西村 公雄, 大鶴 勝
    1992 年 43 巻 3 号 p. 185-191
    発行日: 1992/03/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    アスコルビン酸 (AsA) の食品品質改良効果を明らかにするために, タンパク質として卵白アルブミン (OVA) を用いて以下の検討を行った.
    各種0.2M緩衝液 (pH6) に溶かしたOVA溶液は, AsAによって50℃でインキュベーションすると白濁 (重合化) するが緩衝液の種類によってその濁度が著しく異なった.そこで, まず, 各種緩衝液に対するキレート剤と金属イオンの効果を調べた.次に, 0.26から1.0のイオン強度に調整したリン酸緩衝液を用いてAsAによって生じるOVAの濁度に対するイオン強度の影響を検討した.
    得られた結果は, 緩衝液中に存在する金属イオンがAsAの酸化を促すことで白濁を生じさせることが, 各種緩衝液によるOVAの白濁の違いの原因の一つであることを示していた.
    また, リン酸緩衝液のイオン強度増加によりAsAによるOVAの重合体形成が抑えられたのは, 重合体形成に静電的および極性結合が関与しているためであると推定した.
  • 湯川 夏子, 高橋 由美子, 藤村 知子, 藤野 吉世, 長谷川 喜代三, 高村 仁知, 的場 輝佳
    1992 年 43 巻 3 号 p. 193-198
    発行日: 1992/03/15
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    代表的な豆臭成分であるn-ヘキサナールは, 大豆抽出液中においてはアルコールデヒドロゲナーゼの作用によりn-ヘキサノールに還元される.本研究では本酵素反応の他のアルデヒドに対する基質特異性及び本反応に対する補酵素 (NADH, NAD+) の作用機構について検討した.大豆抽出液に種々の脂肪族アルデヒド (炭素数3~9) を添加し37℃でインキュベートし, 生成したアルコールを定量した.本酵素反応の基質特異性は広く, 各アルデヒドに対する相対活性は, アルデヒドの炭素数が増えるにつれ減少した (炭素数3>4>5>6>7>9>8).また, これらの反応はNADHのみならず, NAD+添加によっても促進された.大豆抽出液とNAD+をインキュベートすると, NADHは生成したが, 加熱処理 (100℃, 5分間) した大豆抽出液では, NADHの生成はみられなかった.このことから, 大豆抽出液中にはNAD+をNADHに変換する酵素系が存在することが示唆された.
  • 島田 淳子, 綿貫 美奈子, 谷澤 容子, 畑江 敬子
    1992 年 43 巻 3 号 p. 199-206
    発行日: 1992/03/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    1cm厚さの牛肉のサーロイン肉 (胸最長筋) を0℃で2日から14日間熟成した.熟成した生肉および, これを209℃で90秒焼いた肉の物理的特性 (勢断力価, 硬さ, 凝集性, 針入度, 保水性), 5'-IMP含量, 有機酸量および遊離アミノ酸とオリゴペプチド態アミノ酸の量と組成を測定した.また, 官能検査により, 加熱した熟成肉の軟らかさ, うま味の強さ, 総合的好ましさなどが評価された.この結果, 熟成により軟らかさは, 官能評価においても, 客観測定においても顕著に増加した。うま味に関与するグルタミン酸量および5'-IMP量は熟成により, 前者は増加, 後者は減少した.両者の量より算出した呈味強度は熟成により増加したが, 官能評価におけるうま味の強さには熟成による有意の増加が認められなかった.以上より, 官能評価におけるうま味の強さにはGlu, 5'-IMP以外の成分の寄与が示唆された.
  • 杉原 利治
    1992 年 43 巻 3 号 p. 207-214
    発行日: 1992/03/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    イーストSaccharomyes cerevisiaeに対する, 蛍光増白剤と界面活性剤の相乗効果を調べた。蛍光増白剤は, 4, 4'-ビスウレイドジスチルベン-2, 2'-ジスルフョン酸ナトリウム (FBA) を用い, 界面活性剤は一連のポリオキシエチレンアルキルアルコールエーテル (POE) を用いた.POEは, FBAのイーストへの影響を変化させた.疎水性のPOEは, FBAと一緒に存在すると, イーストへのFBAへの作用をより顕著にした.すなわち, FBAとPOEは, FBA単独の場合よりも, イーストの生育を強く阻害し, 生存しているイーストの割合を低下させ, ステロール生合成や電子伝達系酵素を阻害した.細胞外酵素の活性は著しく上昇した.一方, 疎水性の小さなPOEは, 反対に, FBAのイーストへの作用を軽減した.また, POEは単独では, イーストにほとんど影響を与えなかった.POEとFBAのイーストの生化学的過程への影響の度合いは, 界面活性剤のHLB値と密接に関係しており, 蛍光増白剤のイーストへの吸着がPOEによって変化することが, POEとFBAの相乗効果の原因であると示唆された.
  • 阪村 倭貴子
    1992 年 43 巻 3 号 p. 215-217
    発行日: 1992/03/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    ソメイヨシノ (Prunus yedoensis) の果実の味に寄与する化学成分について成熟過程における量的変化を調べた.
    可溶性全糖はおもに還元糖から構成され, その含量は成熟過程の後期に顕著に増大して完熟果で最大であった.有機酸含量は成熱に伴い漸減して完熟果で最小であった.ポリフェノールはおもに会合型タンニンから構成され, その含量は成熟に伴い特異的に増大して完熟果で最大であった.さらに, L-アスコルビン酸およびデヒドロ-L-アスコルビン酸の含量についても検討した.
  • 庄司 一郎, 倉沢 文夫
    1992 年 43 巻 3 号 p. 219-227
    発行日: 1992/03/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    米飯の光沢度を計る食味計を用いて, 県内産米23点の食味評価を行い, 官能試験の結果と一致するか否かについて検討するとともに, 米ならびに米飯の理化学性等について測定した.
    (1) 米の銘柄区分と食味評価 (官能試験, 味度メーター) との関係ではI類が上位を示し, II類は中位, III類は下位となり, 食糧庁の米の銘柄区分とほぼ一致した.また, I類間の比較では, コシヒカリが最も食味がすぐれていた.なお, 北海道のきらら397ははなの舞と同程度の食味評価を示した.
    (2) 官能試験の食味評価と味度メーターの食味評価との間には有意な相関が認められ, 味度メーターは米の食味を評価する手段として有効であることが認められた.
    (3) コシヒカリはいずれの生産地でもタンパク質, アミロース, 溶出固形物量, ヨード呈色度が低く, 米飯のテクスチュロメーターによる物理的性質, 硬さ/付着性, 硬さ/粘りも低かった.また, 精白米粉のアミログラムでは最高粘度, 崩壊度は高く, 老化度は低い値を示した.これらの傾向は他の銘柄米と比較して明らかであり, コシヒカリの大きな特徴と認められる.
    (4) 官能試験の食味評価と理化学的性質について有意性を検定, 精白米のアミロース含量, 炊飯液のヨード呈色度, 米飯のテクスチャー (付着性), 精白米粉のアミログラム (最高粘度) の4項目において食味評価と相関関係があることが認められた.
    (5) 平坦部と中山間部, 山間部との関係では測定項目によって多少差異が認められたが, 一般的な傾向としては米の銘柄区分でみられたような極端な差異はみられなかった.
  • 富田 道男, 斉藤 学, 春山 洋一
    1992 年 43 巻 3 号 p. 229-233
    発行日: 1992/03/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    (1) 水の煮沸により重金属溶出の認められなかったのは, ホーローびき鍋のみであった.
    (2) 5%酢酸水溶液の煮沸では, どの鍋 (鉄鍋を除く) からも重金属の溶出が認められ, その溶出量は水煮沸の場合の10倍に達するものがあった.
    (3) 5%酢酸水溶液の煮沸で溶出量の増加が最も少なかったのは, フッ素樹脂加工のアルミニウム鍋であった.
    (4) スズ引き銅鍋からは鉛の溶出が認められた.
    (5) シリコン強化焼き付けと称するてんぷら用鉄鍋は5%酢酸水溶液の煮沸により, 内面の塗装皮膜のほとんどが剥離した.このように, 使用方法の限定された表面処理の施された鍋を他の目的に使用するさい, その性質について十分調べることが肝要である.
  • 阿部 治
    1992 年 43 巻 3 号 p. 235-242
    発行日: 1992/03/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
  • <その1> International Year of the Familyの背景 -家政学会と「国際家族年」-
    日本家政学会国際交流委員会
    1992 年 43 巻 3 号 p. 247-248
    発行日: 1992/03/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
  • 1992 年 43 巻 3 号 p. 255a
    発行日: 1992年
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
  • 1992 年 43 巻 3 号 p. 255b
    発行日: 1992年
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
  • 1992 年 43 巻 3 号 p. 255c
    発行日: 1992年
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
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