日本家政学会誌
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紫外線照射条件の違いによるキノコのビタミンD2生成量の比較および保存中における変化
紫外線照射によるキノコ類の効果的利用 (第5報)
桐渕 壽子
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1992 年 43 巻 7 号 p. 649-654

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抄録

(1) ビタミンD2の生成は日光より紫外線照射の方が数倍効果的である.使用したキノコの中ではエノキタケが最も多くビタミンD2が生成され, 2時間の紫外線照射で約2,000IU/g (乾物), 30分で約1,500IU/g (乾物) であった.
(2) ビタミンD2強化エノキタケを作るため, 生産レベルでの照射を想定したモデル実験では30分の照射で500IU/g (乾物) のビタミンD2が生成され, 実用化には培養のプロセスから考えて, 30分位が適当と思われた. (3) 紫外線照射しビタミンD2が生成されたキノコを乾燥するとビタミンD2は約10%減少するが, 十分にビタミンD2供給食品として利用できる.
(4) 日光や紫外線照射により生成されたビタミンD2は保存中に減少はするものの, 乾燥キノコの場合は6カ月保存しても約80%残存しており, 比較的安定であるといえる.
(5) 紫外線照射後乾燥したビタミンD2強化エノキタケをビタミンD2強化食品素材として利用することが期待できる.

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