日本家政学会誌
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イソマルトオリゴ糖摂取が健常人の便通と腸内環境に及ぼす影響
金子 俊之河本 高伸菊池 弘恵塩田 真夫弥武 経也飯野 久和辻 啓介
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1993 年 44 巻 4 号 p. 245-254

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抄録

イソマルトオリゴ糖の摂取が, 腸内環境と便通に及ぼす影響を明らかにするために, 腸内Bifidobacteriumを増殖させる有効量である1日10gもしくは15gを有志健常人に摂取させて検討した. 試験期間は5週間で, 1週目は摂取前, 2~3週目は摂取, 4週目は摂取休止, 5週目は再摂取とした.
1) 1日10gの摂取により, Bifidobuterium菌数及び占有率の有意な上昇, Lactobacillus菌数の有意な増加, Bacteroidaceae占有率の有意な減少, Clostridium出現の抑制など, 腸内フローラが改善された.
2) 同時に, 糞便pHは有意に低下し, 短鎖脂肪酸は増加傾向を, 腐敗産物は減少傾向を示すなど, 腸内環境が改善された. しかも, 試験の後半ほど効果が著しいことから, より長期の摂取が効果的であると考えられた.
3) 摂取前の排便回数が少ない (3回/5日以下) 便秘傾向者では, 用量依存的 (10gと15g/日) に便通が改善された. しかも, 下痢などの重篤な副作用は伴わなかった.
4) 相関係数の検定より, 糞便に含まれる酢酸は, 腸内環境及び便通の改善と密接な関係を持つと考えられた.

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