抄録
非水洗浄系における固体粒子の繊維基質への付着性におよぼす溶剤の種類および界面活性剤 (AOT) の添加濃度の影響について検討した.
系を単純化するために, 球形のFe2O3・H2O粒子および円形断面の単繊維を用い, 可溶化水未添加の溶剤を用いた粒子分散液から繊維への粒子付着を20℃, 48時間の弱い機械的振盪力による平衡付着量から比較検討した.
非極性の石油系溶剤 (n-ヘキサン, n-ヘプタン, n-ウンデカン) および塩素系溶剤 (テトラクロロエチレン) では, 添加界面活性剤濃度変化に伴う粒子付着量変化において, 付着量を最少にするために要する界面活性剤濃度の存在が確認された.粒子の分散安定化に必要な限界AOT濃度と粒子量との間には, よい相関性が認められた.
非極性溶剤中におけるFe2O3・H2O粒子1gの分散安定化に必要なAOTの最少値は, 石油系では約3.3×10-4mol, 塩素系では約2.0×10-4molであつた.
極性溶剤のエチルアルコールでは, 非極性溶剤と比較して溶剤自体の粒子分散安定性が良好なため, 界面活性剤の添加効果が認められなかった.