日本家政学会誌
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羊毛布地の繰り返し洗濯による空隙構造変化
前島 雅子
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1994 年 45 巻 9 号 p. 821-828

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抄録
1) 2槽型噴流式洗濯機と全自動型洗濯機「手洗いコース」による繰り返し洗濯を実施した3種の羊毛布地の空隙量/半径分布をn-ドデカンを用いて吸液法と遠心脱液法組合せにより評価した.
2) 2槽型洗濯機で洗濯した試布Aと試布Bは著しい空隙構造変化を呈した.空隙量の増加は (1) 原布セット状態の緩和 (全空隙径域にわたる), (2) 毛羽立ち (100~1,000μmオーダー), (3) 縮絨 (10μmオーダー), (4) 毛羽のからみ粗硬化 (1,000μmオーダー) と繊維損傷 (1μmオーダー) の順に進行することがわかった.
3) 全自動型洗濯機「手洗い」機能を用いた試布Sでは洗濯回数増加に伴い, 大径域で少量の空隙発生と増加を認めた.この径域の空隙量増加に対しては柔軟剤処理による抑制効果を見いだした.
4) 洗濯繰り返しによる全空隙量と大径域 (γ1) 空隙量の増加挙動は厚さ変化と係わり, 小径域 (γ3) 空隙量の挙動は重量変化と関連することを見いだした.
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© 社団法人日本家政学会
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