日本家政学会誌
Online ISSN : 1882-0352
Print ISSN : 0913-5227
ISSN-L : 0913-5227
家庭用軟水装置を用いた水の調理への影響 (第1報)
煮豆の場合
市川 朝子黒沢 奈緒美高島 希誉香神戸 恵下村 道子
著者情報
キーワード: 軟水, 煮豆, 大豆, 小豆, 官能検査
ジャーナル フリー

1998 年 49 巻 9 号 p. 993-1001

詳細
抄録
家庭用軟水装置で処理した水および処理していない水道水で小豆あるいは大豆を加熱し, 性状を比較検討した実験結果から, 以下のことがまとめられる.
でんぷんを多く含む小豆は, 調理目的によって仕上がり性状を調整する必要があるが, 餡に用いるような場合には, 加熱方法は常圧加熱, 加圧加熱いずれでも良く, 速く軟化させるには軟水を使用するのが望ましい.また, 豆の煮崩れを押さえ, しかも色よく仕上げる調理に用いる場合には, 加圧加熱方法で軟水を用いるのが好ましい.
たんぱく質や脂質に富む大豆は, 加熱初期の段階では軟水を用いた方がやや軟化しやすい傾向はみられたものの, 水道水, 軟水による加熱大豆への顕著な差はみられなかった.このことは, 大豆に含まれるたんぱく質やカルシウムの浸漬や加熱による液への溶出率に大差がみられなかったことと一致する.また, 加熱大豆のいわゆる “生大豆的な硬さ” をなくしたい場合には, 加圧加熱方法でしかも軟水を用いることにより, 煮崩れの少ないふっくらとした加熱豆になることが示された.
著者関連情報
© 社団法人日本家政学会
前の記事 次の記事
feedback
Top