日本家政学会誌
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ミネラルウォーターに対する女子短大生とラットの嗜好性の類似
江角 由希子小原 郁夫
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1999 年 50 巻 12 号 p. 1217-1222

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抄録

市販ミネラルウォーターに対する嗜好性を女子短大生と雌ラットで調べた.ミネラルウォーター中のCa, Mg, NaおよびKの含有量は原子吸光分析法, 硬度はキレート滴定法で測定した.次に, 正常な味覚感受性である女子短大生を被験者とし, ミネラルウォーター4種と水道水を試料として官能評価を行った.一方, ラッおは, 8週齢雌を用いて二瓶選択法により嗜好試験を行った.ミネラルウォーター中のCaおよびMgの含有量はラベル表示値よりも低く, NaおよびKは高かった.また, 硬度はCaおよびMgの含有量から算出される値の約1.2倍を示した.官能評価に用いたミネラルウォーターの硬度は11.5, 58.3, 81.3,332.3,534.0mg/lであり, 水道水は38.3mg/lであった.女子短大生, 雌ラットとも硬度58.3mg/lのミネラルウォーターにおいて嗜好性が最も高く, 硬度300mg/l以上では嗜好性が低下した.これらの結果は, 女子短大生と雌ラットにおけるミネラルウォーターの嗜好性は類似しており, 硬度約50mg/lが飲み水として最もおいしいということを示唆した.また, ミネラルウォーターにおいてもおいしさの指標として硬度が使用できることが確認された.

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