日本家政学会誌
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脂肪酸存在下または否存在下での加熱によるコレステロールの酸化分解と酸化分解物のラット小腸上皮細胞 (IEC-6) に対する毒性
大谷 貴美子片岡 あゆみ高山 美佐子南出 隆久
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1999 年 50 巻 7 号 p. 665-671

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抄録
脂肪酸存在下, 非存在下におけるコレステロールの酸化分解について, 加熱温度150~200℃で検討を行った.コレステロールおよびコレステロール酸化物の分析はGC (ガスクロマトグラフィー) およびGC-MS (質量分析装置) を用いて行った.コレステロールは加熱温度および加熱時問に依存して酸化分解された.しかしながら, 分解された量に比しコレステロール酸化物の蓄積量はわずかであり, その組成は加熱時間や加熱温度とは無関係であった.脂肪酸存在下では, 特に多価不飽和脂肪酸はコレステロールの酸化分解を促進した.ビタミンEをコレステロール加熱時に共存させると, 脂肪酸の酸化のみならず, コレステロールの酸化も抑制した.コレステロール酸化分解物 (mixture) の毒性を調べる目的で, 生体外異物の最初のバリアーである培養小腸上皮細胞に添加したところ, 加熱時間の長いコレステロール酸化分解物 (mixture) の方が細胞毒性が強かった.さらに, 細胞保護作用を検討したところ, ビタミンCが効果的であることが示された.
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