日本家政学会誌
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50 巻, 7 号
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  • 大谷 貴美子, 片岡 あゆみ, 高山 美佐子, 南出 隆久
    1999 年 50 巻 7 号 p. 665-671
    発行日: 1999/07/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    脂肪酸存在下, 非存在下におけるコレステロールの酸化分解について, 加熱温度150~200℃で検討を行った.コレステロールおよびコレステロール酸化物の分析はGC (ガスクロマトグラフィー) およびGC-MS (質量分析装置) を用いて行った.コレステロールは加熱温度および加熱時問に依存して酸化分解された.しかしながら, 分解された量に比しコレステロール酸化物の蓄積量はわずかであり, その組成は加熱時間や加熱温度とは無関係であった.脂肪酸存在下では, 特に多価不飽和脂肪酸はコレステロールの酸化分解を促進した.ビタミンEをコレステロール加熱時に共存させると, 脂肪酸の酸化のみならず, コレステロールの酸化も抑制した.コレステロール酸化分解物 (mixture) の毒性を調べる目的で, 生体外異物の最初のバリアーである培養小腸上皮細胞に添加したところ, 加熱時間の長いコレステロール酸化分解物 (mixture) の方が細胞毒性が強かった.さらに, 細胞保護作用を検討したところ, ビタミンCが効果的であることが示された.
  • 塚原 典子, 麻見 直美, 江澤 郁子
    1999 年 50 巻 7 号 p. 673-682
    発行日: 1999/07/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    日本の国技である相撲の世界は, 特殊な食生活形態および身体的特徴を有し, さらに稽古量も多いことから, これらが骨に与える影響は大きいと考えられる.そこで本研究では相撲界における, 体格, 日常の食生活および身体活動状況等が骨密度に及ぼす影響について経時的観察 (1年間) を実施し, さらに, 同年代の一般男子学生の骨密度との比較検討も併せて行った.その結果, 力士の骨密度は, 一般男子学生に比べ, いずれの部位においても有意な高値 (p<0.001) を示した.また, 力士の番付けと体格の間に関係が認められたことからも, 力士にとって体格を増進し, 骨格筋等の筋力アップとそれに伴う骨の強化は, 最も重要な課題であると考えられる.また, 入門1~2年の力士で, 1年間で上腕骨および大腿骨の骨幹部の骨密度の増加が認められたことから, 骨幹部は体重や稽古 (荷重やメカニカルストレス) の影響を受けやすい部位である可能性が考えられる.さらに, 入門歴6~8年の力士において大腿骨近位部骨密度の増加が認められたことからも, しこを踏むという相撲独特の運動 (稽古) が各部位の骨密度を高めるものと思われる.
  • 須見 洋行
    1999 年 50 巻 7 号 p. 683-688
    発行日: 1999/07/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    菌床栽培されたキノコに含まれる血小板凝集関連物質について調べ, 8種類のキノコのうち特にヒラタケ (Pleurotus ostreatus) の水可溶画分にADP, コラーゲンあるいはトロンビンによるヒト血小板 (220×106/ml) の凝集に対して非常に強い阻害活性 (IC50=11.6~27.1μg/ml) を認めた.本物質は, 茶褐色の液体で100℃, 1時間の加熱にも90%以上の活性を残すこと, またヒラタケから得た凍結乾燥品はラットおよびヒトの血小板凝集を阻害し, ヒトが摂取した場合はt-PA放出による血中線溶亢進の起こることも確認された.本物質は, 大量生産の可能なことから種々の血栓性疾患に対する予防目的の機能性食品素材として期待される.
  • 村田 容常, 錦織 智子, 本間 清一
    1999 年 50 巻 7 号 p. 689-694
    発行日: 1999/07/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    う蝕 (虫歯) は, ミュータンス菌 (Streptococcus mutansS. sobrinusなどの虫歯菌) の作るグルコシルトランスフェラーゼの作用によりスクロースより不溶性のグルカン (IG) が形成されることで始まる.黒ビールよりエタノール沈澱, DEAE-トヨパールにより精製したIG合成阻害成分はインベルターゼ活性を示した.インベルターゼによりスクロースがグルコースとフルクトースに加水分解されるためIG合成が阻害され, S. sohrinusのガラス表面への付着 (虫歯菌の歯への付着のモデル) が阻害された.黒ビールは淡色ビールに比べ多くのインベルターゼを含んでおり, より強いIG合成阻害を示した.黒ビールのインベルターゼは酵母由来であった
  • 村田 道代, 坂口 守彦
    1999 年 50 巻 7 号 p. 695-701
    発行日: 1999/07/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    ハマチ筋肉の熱水抽出液をエタノール処理し, 処理前後でのpH, 呈味特性ならびに無機イオン, 遊離アミノ酸およびイノシン酸含量を比較した.熱水抽出液中の高分子化合物を限外濾過による方法で除去した場合には, pHの低下は認められなかったが, エタノール処理による方法ではpHの低下がみられた.官能検査の結果, 普通肉の熱水抽出液はエタノール処理により, 著しく酸味が強まり, 総合的な味の評価が低下した.これに対し血合肉の場合は, 酸味は少し強まるが, 総合的な評価はむしろ上昇した.エタノール処理によってPO43-およびMg2+の顕著な減少が認められたことから, これらの無機イオンの減少がpHの低下をもたらしていることが示唆された.エタノール処理により, 遊離アミノ酸含量にはあまり変化はみられなかったが, 呈味成分であるイノシン酸含量は幾分低下した.
  • カノム モサマット ナズマナラ, 高村 仁知, 的場 輝佳
    1999 年 50 巻 7 号 p. 703-712
    発行日: 1999/07/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    バングラデシュの半発酵魚製品チャパ・シュトキの栄養特性について研究を行った.粗タンパク質, 粗脂肪, および粗灰分含量はそれぞれ33.2, 17.0, 12.2%であった.カルシウム, リン, マグネシウム, および鉄含量は相当する日本の魚加工品よりも高かった.暫定アミノ酸スコアパターン (FAO/WHO 1990) に基づくアミノ酸スコアは100であった.また, 有効性リジンは97.6%であった.加工中のアミノ酸残基の化学変化はほとんど起こらなかった.パルミチン酸, パルミトレイン酸, ステアリン酸, オレイン酸, リノール酸, およびリノレン酸が主要脂肪酸であった.炭素数20以上の高度不飽和脂肪酸は比較的少なかった.半発酵中の不飽和脂肪酸の有意な減少は見られなかった.脂質酸化について調べたところ, カルボニル価とチオバルビツール酸反応性物質値は27meq/kg油脂および38mg/kg油脂と低かった.このように, 脂質酸化のおそれは少なく, チャパ・シュトキは良質なタンパク性食品と考えられる.
  • 西村 公雄, 後藤 昌弘
    1999 年 50 巻 7 号 p. 713-721
    発行日: 1999/07/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    90℃加熱中に生じる鶏もも肉浸出液によるホワイトソースの分離は, 2.4mM N-ethyl-maleimide (NEM) または, 10mM ethylendiaminetetraacetic acidの添加により抑えられた.一方, 浸出液中のタンパク質は, ホワイトソースのクリーム層と結合せず, また, 加熱凝集した浸出液をホワイトソースに加えて再加熱しても分離は生じなかった.以上のことは, 加熱中に浸出液中のタンパク質分子間にSS結合と2価カチオンが関与する相互作用が生じ, その結果ネットワークを形成する際にカゼインミセルや油滴をトラップすることが, 分離の原因であることを示している.さらに, 浸出液中のタンパク質表面疎水性の加熱による増加にNEMは影響を与えなかった.このことは, NEMが存在してもしなくても, 浸出液中のタンパク質の凝集が同程度であることを示している.
  • 桂木 奈巳, 酒井 哲也, 酒井 豊子
    1999 年 50 巻 7 号 p. 723-727
    発行日: 1999/07/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    本報では, 分散染料で処理したナイロン6繊維とその対照試料の強伸度曲線上における紫外線光照射の影響について調査した.紫外光を照射した試料の破断点は, 照射時間に依存して未照射試料の強伸度曲線の基本的な形を保ちながら低伸度側に向かって低下した.この現象は, 非晶域の高凝集エネルギーをもつ領域は低い凝集エネルギーをもつ領域よりもダメージをうけやすいという仮定を示唆する.およそ20時間までの紫外光照射では, 破断強度は未処理, 対照試料, 染色試料の順に減少する.しかし, 20時間以上の照射になると, 染色試料と対照試料の値は逆転する.それらの結果もまた上述の仮定をもとに議論された.
  • バグム ナズニーン, 横井川 久己男, 寺本 あい, 磯部 由香, 河合 弘康
    1999 年 50 巻 7 号 p. 729-733
    発行日: 1999/07/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    塩化ナトリウムを含む数種の培地で増殖したパン酵母の発酵力を, 数種のタイプの生地中で評価した.3種類の増殖培地を実験に用いた.すなわち, YPG培地 (5%グルコース, 1%ペプトン, 0.5%酵母エキス, 0.1%リン酸-カリウム, 0.1%硫酸マグネシウム・7水塩, pH5.6), YPS倍地 (2%スクロース, 4%ペプトン, 2%酵母エキス, 0.2%リン酸-カリウム, 0.1%硫酸マグネシウム・7水塩pH5.6), MO培地 (1%尿素, 0.2%リン酸-カリウム, 5%糖蜜由来糖分, pH5.6) である.これらの培地への3%塩化ナトリウムの添加は, 増殖培地の種類にかかわらずパン酵母の増殖を明らかに抑制した (細胞収量は, 定常期において15~60%低下した).これらの塩ストレスにさらされた細胞の発酵力を調べたところ, 増殖培地や生地のタイプにかかわらず, 塩化ナトリウム非存在下で増殖した細胞より高い発酵力を示した.塩化ナトリウムの存在による発酵力の増加率は, 3%塩化ナトリウムを含むYPSまたはYPG培地と5%グルコースを含む生地を用いた場合が最大であった (45%の増加率).しかしながら, 発酵力の増加率は, 増殖培地の種類にかかわらず, 無糖生地では低いレベルに留まった (2~7%の増加率).酵母の発酵力は, 主に糖の取り込み速度によって制限されることから, 塩化ナトリウム存在下で増殖したパン酵母の高い発酵力は, 糖取り込み速度の増加によるものと推定される.また, 増殖培地中の塩化ナトリウムの存在は, 種々のサッカロミセス酵母の発酵力も高めた.
  • 福原 桂, 金子 佳代子
    1999 年 50 巻 7 号 p. 735-744
    発行日: 1999/07/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    活動強度の低い日常生活時のエネルギー消費量を簡便かつ精度よく推定する方法について検討するため, 無線式エネルギー代謝計測システムを用い, 女子大学生の日常生活時の酸素消費量と心拍数を午前11 : 00頃から午後7 : 00頃まで連続的に実測した.日常生活時の酸素消費量と心拍数の連続記録から, 活動強度の低い状態での両者の関係式 (L3) を作成し, それをもとに心拍数法によって推定した場合の総エネルギー消費量と, 臥位安静, 座位安静, 立位の時の酸素消費量の関係式 (L1) および強度の高い負荷運動 (踏台昇降) 時の酸素消費量と心拍数の関係式 (L2) をもとに, 心拍数法により推定した場合の総エネルギー消費量について, 実測した総エネルギー消費量との比較・検討を行った.被検者の日常生活の活動内容は1分ごとに記録し, 被検者には加速度計も装着してもらった。日常生活におけるエネルギー消費量の大部分は0.05 (kcal/kg/min) 以下であり, 本研究における被検者の日常生活の強度は低かった.L3を用いた心拍数法 (HRM 3) により推定した総エネルギー消費量は無線式エネルギー代謝計測システムにより実測した総エネルギー消費量に極めて近く, 両者間の相関係数は0.9998と非常に高かった.L2を用いた心拍数法 (HRM 1) およびL1とL2を用いた心拍数法 (HRM2) による総エネルギー消費量の推定値は, いずれも無線式エネルギー代謝計測システムによって実測した値を有意に上回り, その差はHRM 3の場合に比べて有意に大きかった.また, HRM 1, HRM 2による推定値と無線式エネルギー代謝計測システムによる実測値との相関係数は, HRM 3の場合よりも低かった.以上の結果から, 日常生活時のエネルギー消費量の推定には, 強度の低い日常生活活動時の酸素消費量と心拍数の関係をとらえることが重要であり, L3を用いることにより, 日常生活時のエネルギー消費量をより簡便かつ精度よく推定する方法の開発が可能であることが示唆された.
  • 石井 博子
    1999 年 50 巻 7 号 p. 745-746
    発行日: 1999/07/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
  • 加藤 陽治
    1999 年 50 巻 7 号 p. 747-748
    発行日: 1999/07/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
  • 中西 茂子
    1999 年 50 巻 7 号 p. 749-760
    発行日: 1999/07/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
  • 武藤 安子
    1999 年 50 巻 7 号 p. 761-765
    発行日: 1999/07/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
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