日持ちのよい団子を調製することを目的として, 上新粉ゲルに小麦粉を添如し, 保存による上新粉ゲルのレオロジー的特性について検討してきた結果を要約すると次のようになる.
(1) 加熱条件の異なる小麦粉ゾルにおいて, 緩慢加熱ゾルは急速加熱ゾルに比べ, 生成還元糖量は多く, 粘性は低下した.
(2) 小麦粉を添加した上新粉ゾルは, 無添加ゾルに比べ保存時間の経過に伴い, 粘性が低下していき生成還元糖量が増加した.
(3) 小麦粉を添加した上新粉ゾルの顕微鏡観察より, 小麦粉添加によってでんぷん粒子の崩壊がみられ, でんぷんが分解されていることを確認した.
(4) 無添加上新粉ゲルは時間の経過に伴い, 硬さの値は顕著に高い値を示すが, 還元糖量はほとんど変化しない.
(5) 小麦粉を添加した上新粉ゲルは時間の経過に伴い, 硬さの変化は緩やかで軟らかさが持続され, 還元糖量は顕著に増加した.
(6) 小麦粉添加量の多い上新粉ゲルほど軟らかさが持続され, 還元糖量は増加した