日本家政学会誌
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フィルム包装のもやし冷蔵保存中における数種成分の変化と品質
笠原 光子小西 あや子畑江 敬子島田 淳子
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2000 年 51 巻 1 号 p. 23-31

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抄録
発芽8日目にあたるブラックマッペもやしをCPPフィルムで密封包装し4℃の暗所で12日間保存した.保存中のもやしの品質についてアスコルビン酸, リボフラビン, 有機酸, 遊離糖および遊離アミノ酸含量, 重量, 硬度, 食味について測定または評価した.その結果以下のことが明らかになった.
(1) 約6日目までフィルム内のガス組成がほぼ適当な範囲内にあり (二酸化炭素1~9%, 酸素18~2%), 重量が保持され, 外観の品質はほぼ良好であった.
(2) 総アスコルビン酸含量 (アスコルビン酸+デヒドロアスコルビン酸) は6日目まで高く保持され, その後漸次減少した.
(3) もやしのリボフラビン含量は貯蔵中ほとんど変化がみられなかった.
(4) 有機酸および遊離糖は6日目までの変化はわずかであり, 9日目にはリンゴ酸の急減, クエン酸, 乳酸, 酢酸の増加が認められた.
(5) もやしの遊離アミノ酸はアスパラギンが最も多く含まれ, 貯蔵に伴い減少した.
(6) もやしの胚軸の硬さは貯蔵初期に急速に低下するものの, ゆでた後には明らかな差異として認められなかった.
(7) フィルム包装で低温保存したもやしでは, 外観から判断される品質保持限界 (約6日間) において, 内的品質も比較的良好な保持状態であるが, それ以降, 明らかに様相の異なる変化 (品質の劣化) が起こることが主成分分析により確認された.
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