日本家政学会誌
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カイコガチアミナーゼの酵素学的検討
カイコガ幼虫及び蛹の調理加工法の開発 (第1報)
渡辺 喜弘岡崎 英規西宗 高弘
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2001 年 52 巻 2 号 p. 155-160

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抄録

カイコガを食材として利用する際, その安全性を検討する必要がある.本報では, カイコガ体内に存在するチアミナーゼに着目し, 以下の結果を得た.
(1) カイコガの幼虫及び蛹にビタミンB1分解酵素チアミナーゼを見出した.
(2) 酵素反応温度がチアミナーゼ活性におよぼす影響を検討したところ, 60℃から70℃で活性が最も強かった.
(3) 本酵素のpH依存性を検討した結果, pH9.0において最大の分解活性が認められた.
(4) 本酵素はビタミンB1を分解するときに第2基質としてシステイン, タウリン, リジン, プロリン, グルタチオン, ピリドキシン等を要求することがわかった.
(5) 本酵素をプロテアーゼ処理すると失活し, 蛋白質性である事が確認された.また, 透析後の酵素液中にも第2基質依存性の酵素活性は残り, 本酵素は非透析性の高分子量物質であることが確認された.
(6) ビタミンB1のモノリン酸エステル, ジリン酸エステル, トリリン酸エステルには本酵素は反応せず, 遊離のビタミンB1のみを分解することがわかった.

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