2002 年に開催されたヨハネスブルグ・サミットで再確認されたように, 先進国における「持続可能な消費」の必要性が高まっている.そのなかで本報の目的は, すでにその重要性が指摘されつつある生活時間やジェンダー視点との関連を, 「世帯」に着目して分析することである.使用したデータは, 2000年に実施した生活時間調査であり, 協力者の特徴等についてはすでに報告済みである.主たる結果は次の通りであった. (1) 全体的には, 1995年調査と同様, 妻の方が夫よりも「持続可能な消費」を実践しており, しかもそこには妻の就業形態別の違いすなわち世帯内でのジェンダーのあり方が反映されていた. (2) ライフスタイルの変更の必要性に対する認識と実際の行動との乖離傾向は, 特に「妻無職の夫」にみられ, 「持続可能な消費活動」自体が性別役割分業化される危険性が明らかになった. (3) 同時に, 「妻の影響」の大きさが明らかとなり, 世帯内における「持続可能な消費」のジェンダー差とともに, その解消の可能性も垣間見られた. (4) 「社会的活動/消費者活動」は増加傾向にあった. (5) 自家用車の使用法については, 先行研究と同様, 今後の環境政策に生かされるべきジェンダー差が明らかとなった.