日本家政学会誌
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遠心分離法により調製したヒエ(Panicum crus-galli L., var.frumentaceum HOOK.f.)澱粉の理化学的特性
伊藤 幸松永 直子濱西 知子平尾 和子高橋 節子
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2005 年 56 巻 10 号 p. 701-709

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抄録
純度の高いヒエ澱粉を短時間に調製する目的で遠心分離法によりヒエ澱粉を調製し, 得られた澱粉の理化学的性質について従来法と比較検討した, 澱粉調製時の水酸化ナトリウム溶液の濃度は0.2%(0.05M)または0.3%(0.075M)とし, 懸濁回数は1回または3回の4種について検討した.
1) 遠心分離法4種は, ヒエ澱粉の収率が44~47%と従来法の40%に比べて高く, タンパク質含量は0.29~0.35%, 灰分は0.08~0.10%と従来法と近似の値であった.
2) ゲル濾過法により求めたヒエ澱粉のアミロース含量は23.0%, アミロペクチンの長鎖長区分に相当するFr.IIの値は19.0%, アミロペクチンの短鎖長区分に相当するFr.IIの値は58.0%を示し, Fr.III/Fr.IIの値は3.1であった.ヒエ澱粉の平均粒径は7.0~7.4μmを示した.
3) ヒエ澱粉の調製法による熱的性質の差は認められなかった.
4) 遠心分離法により得られたヒエ澱粉は, 従来法に比べてRVAによる最高粘度, 冷却50℃での粘度が高く, 最低粘度は低い値を示し, ブレークダウンは大であった.またゲルの硬さには澱粉の調製法による差が認められ, 0.2%(0.05M)のアルカリ溶液に1回懸濁が軟らかい値を示し, これはRVAによる粘度特性値のブレークダウンとの関連が認められた.
5) 遠心分離法は2~3日間で純度の高い, 収率のよいヒエ澱粉を調製することが可能であり, 従来法の2~3週間を大きく短縮できた.その際作業性, 操作性からはアルカリ濃度の低い0.2%アルカリ溶液に1回懸濁で純度の高いヒエ澱粉の調製が可能であった.
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