2005 年 56 巻 10 号 p. 691-699
2004年, 国連は国際家族年10周年に当たり, 家族支援の強化を強調した.家族へのサポートは, 公の制度とともに企業の施策と深い関係がある.本論文の目的は, 生活経営学の視点から, 企業のファミリー・フレンドリー施策を検討することである.方法は, 企業と従業員とへの調査である.結果は, 次のとおりである. (1) 女性は育児休業を取得しやすい傾向にあり, その取得状況は高かった. (2) 男性は育児休業を取得しにくい傾向にあり, その取得状況は低かった. (3) 「ファミリー・フレンドリー企業」においてさえも, 男性が育児休業を利用しやすい企業文化が育っていなかった.男性従業員が, 生活者としての意識を持ち, ワークライフ・バランスを取れるようにしていくために, ファミリー・フレンドリー施策を生活経営の視点から活用する必要がある.