日本家政学会誌
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シクロデキストリンと油性物質との相互作用
樫野 悦子藤井 富美子
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2005 年 56 巻 8 号 p. 533-539

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抄録

3種類のシクロデキストリン(α-, β-, γ-CD)を用い, 油性物質として, コレステロール, トリオレイン, アルキル鎖長の異なる飽和脂肪酸のラウリン酸, ミリスチン酸, パルミチン酸, ステアリン酸, 及び不飽和脂肪酸のオレイン酸の7種類を用いて, CDによる油性物質の包接について検討した.
CDを水に溶解し, 油性物質をエタノールに溶解した後, 両者を混合して包接し, 包接された油性物質を溶媒に溶解してTLG-FID法により, それぞれの油脂成分を定量した.
α-CDは, オレイン酸を包接するがコレステロール, トリオレインを包接しなかった.β-CDは, コレステロールを包接した.γ-CDは, オレイン酸, コレステロール, トリオレインを包接した.これらの結果よりCDは油性物質を選択的に包接することがわかった.
α-CDによる脂肪酸の飽和包接量及び結合定数は, 脂肪酸の鎖長の増加につれて増大し, 鎖長が長いほど安定な包接化合物となった.一方, β-CDとコレステロールの系での飽和包接量は, β-CDの水に対する溶解度が低いため少ないが, 結合定数は大きく, コレステロールはβ-CDに安定に包接された.しかし, γ-CDと油性物質の系では, γ-CDの断面積が大きすぎるため, その包接量は全体に少ないことがわかった.

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