総合健診
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日本総合健診医学会 第42回大会
日本総合健診医学会 第42回大会・シンポジウム2 生活習慣病とガイドライン:高血圧、糖尿病、脂質異常症
新しいガイドラインと健診:高血圧と慢性腎臓病
竹中 恒夫
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2014 年 41 巻 3 号 p. 476-484

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抄録
 高血圧は非常に多く認められる疾患で、健診での指摘、介入から大きく予後改善が期待される疾患の一つである。日本高血圧学会は2014年に高血圧治療ガイドラインの改定を行った。高血圧診断の基準となる血圧値には手を加えていないが、家庭血圧の重要性が強調されている。実際に診察室血圧が正常でも家庭血圧を測定いただくことを推奨している。また、診察室血圧と家庭血圧に乖離がある場合は家庭血圧を優先させることが明記されている。特定健診結果の取り扱いについても改定案が出されている。血圧160/100mmHg以上はすべて受診勧奨、159-140/99-90mmHgでは糖尿病やCKDもしくは危険因子がある方は受診勧奨とし、他は健康増進事業などについての情報提供としている。血圧139-130/85-89mmHgでは糖尿病やCKD合併者のみ受診勧奨、腹囲やBMIから肥満と考えられる方は保健指導として、いずれでもない方には情報提供のみで可としている。CKD診療ガイドラインは2013年に改定された。改定ガイドラインでは糖尿病性腎症を別扱いとしている。糖尿病性腎症では微量アルブミン尿を重視しているが、非糖尿病性腎症ではアルブミン尿でなく従来通り蛋白尿を使用して重症度分類を行っている。また、eGFRによる病期分類にも変化を加えてeGFR 60-45mL/minをG3aとし、eGFR 45-30mL/minをG3bとCKD3期を細分化している。特定健診結果の取り扱いについては、特定健診結果から、CKD該当と考えられた方のうち脂質代謝異常症、糖尿病、高血圧を治療中の患者は治療継続、3疾患の合併はないものの尿蛋白が1+以上の方は受診勧奨、尿蛋白±もしくは-の方のうちeGFR 50mL/min以下の方は受診勧奨、eGFR 50-60mL/minでは3疾患いずれかの合併が疑われる方は受診勧奨、その他は保健指導としている。他方、特定健診は生活習慣病予防の健診であることから、CKD非該当の方もCKDになりやすい方として保健指導を勧めている。
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© 2014 一般社団法人 日本総合健診医学会
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