総合健診
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原著
実践報告
  • 中嶋 加代恵, 青木 麻美子, 佐藤 元美, 梅津 雅夫, 石川 公, 中尾 聡, 熊谷 英之, 庄田 昌隆, 原田 弘秋, 田茂 和歌子, ...
    原稿種別: 実践報告
    2025 年52 巻6 号 p. 750-755
    発行日: 2025/11/10
    公開日: 2025/12/01
    [早期公開] 公開日: 2025/10/24
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】特定保健指導(以下特保)実施率向上へ向けて、2020年度より巡回健診当日の特保初回面接に遠隔面接を取り入れている。その取り組み状況と、対面面接との効果の違いについて報告する。

    【対象と方法】2020~2023年度、巡回健診当日に特保初回面接を実施した健診会場数、遠隔面接を実施した会場数の割合、実施方法別指導人数および体重・腹囲の減少効果の違いを検証した。さらに、遠隔面接実施者及び保健師・管理栄養士に対するアンケートを実施した。

    【結果】健診会場数は、2020年度108か所(うち遠隔面接実施1か所0.9%)から2023年度225か所(同53か所23.6%)へ増加した。特保の実施者数は、2020年度892名(うち遠隔面接3名0.3%)から2023年度1,505名(同179名11.9%)へ増加した。2023年度特保終了者992名において、体重・腹囲の減少者は、対面面接863名中499名(57.8%)、遠隔面接129名中79名(61.2%)であり、有意差は認められなかった(p=0.46)。遠隔面接実施者へのアンケートでは9割が良かったと回答、保健師、管理栄養士からは時間的なメリットを中心に肯定的な所感が多かった。

    【考察】遠隔面接導入により巡回健診当日特保の件数が増加し、保健師、管理栄養士は時間の有効活用が可能となった。遠隔面接と対面面接で効果に違いはなく、今後はシステム化によるデータ共有などによりさらに遠隔面接を進めていきたい。

大会講演
第53回大会
  • 山田 千積
    原稿種別: 大会講演
    2025 年52 巻6 号 p. 756-761
    発行日: 2025/11/10
    公開日: 2025/12/01
    ジャーナル オープンアクセス

     ウェルビーイングとは、身体的、精神的に健康な状態であるだけでなく、社会的、経済的に良好で満たされている状態にあることを意味し、糖尿病の領域でもウェルビーイングの概念を取り入れる動きが急激に広まっている。

     糖尿病という病名に対するイメージは悪く、日本糖尿病協会のアンケート調査によると、72.5%の糖尿病患者が「糖尿病」という病名に対して抵抗感や不愉快感を示し、78.9%が病名変更を希望しているというデータがある。糖尿病へのスティグマが生まれた背景には、血管疾患による死亡が多かった半世紀前の古いイメージや、「糖尿病になるのは怠惰な生活のせい」という自己責任論がある。以前は、糖尿病患者は、非糖尿病者と比較して寿命が10年短いというのが定説であったが、年々その差は短縮し、生命予後が改善している。糖尿病患者の死因としては、血管疾患が著明に減少し、死因の1位は癌となっており、膵臓癌や肝臓癌など糖尿病患者でリスクの高い癌があることは知っておく必要がある。

     糖尿病治療の目標は、高血糖に起因する代謝異常を改善することに加え、糖尿病に特徴的な合併症、および糖尿病に起こり得る併存症の発症、増悪を防ぎ、非糖尿病者と変わらない生活の質(quality of life: QOL)と寿命を実現することである。スティグマを放置すると、糖尿病患者が社会活動で不利益を被るのみならず、治療に向かわなくなるという弊害をもたらすため、糖尿病であることを隠さずにいられる社会を作っていく必要がある。このようなスティグマを除去する取り組みはアドボカシー活動と呼ばれている。

     本稿は、日本総合健診医学会第53回大会の特別企画1「ウェルビーイングの視点からみた総合健診」での発表内容を元に、健診に携わる方々に向けて糖尿病診療をとりまく情報をアップデートし、糖尿病とウェルビーイングに関する理解をより深めることを目的としている。

  • 徳丸 裕美
    原稿種別: 大会講演
    2025 年52 巻6 号 p. 762-768
    発行日: 2025/11/10
    公開日: 2025/12/01
    ジャーナル オープンアクセス

     健康経営の推進において、産業医は法令遵守の枠にとどまらず、企業の人的資本への投資を支援する重要な役割を果たしている。本稿では、産業医の業務とその意義、健康診断やメンタルヘルス対応に加え、身体的・精神的・社会的側面を含むウェルビーイングの視点からの支援、さらに三井物産における具体的な取り組み事例について報告する。産業医は単なる健康管理者ではなく、従業員の生産性と企業の持続可能な成長を支える戦略的パートナーである。

  • 森 一宏, 吉田 諭史, 佐藤 清二, 王丸 愛子, 中馬 優子, 橋村 由里奈, 﨑山 遼, 松永 杏奈, 小野 萌華, 有吉 真弓, 三 ...
    原稿種別: 大会講演
    2025 年52 巻6 号 p. 769-778
    発行日: 2025/11/10
    公開日: 2025/12/01
    ジャーナル オープンアクセス

    【背景・目的】胃X線検査における立位圧迫法は二重造影法と並び立つ重要な撮影法であるが、現状では目標画質や実施基準が明確でない。本研究は立位圧迫法の成否と有効性を調査し、スクリーニング検査としての有用性と問題点を明らかにすることを目的とした。

    【方法】2024年6月に当施設で胃X線検査を実施した682名を対象に、立位圧迫法の実施率と成否を調査した。また、2024年4月~12月の要精検症例101名について、圧迫法による所見描出効果を評価した。圧迫像の適切性は、標的部位の圧迫状態、黒化度、バリウム充填状態により判定した。統計解析にはχ2 検定、Mann-Whitney U検定、ロジスティック回帰分析を用いた。

    【結果】立位圧迫法の実施率は81.8%(558/682例)、実施完了率は68.6%(468/682例)であった。適切な圧迫像が4部位すべてで成立した症例は47.5%(324/682例)であった。多変量解析の結果、圧迫法成立の独立因子は女性(OR 3.80、95%CI 2.41-6.07)、低BMI(5kg/m2 減少ごとOR 1.92、95%CI 1.29-2.91)、非横胃(OR 2.06、95%CI 1.14-3.76)、術者経験年数(5年増加ごとOR 1.32、95%CI 1.18-1.48)であった。要精検症例の検討では、圧迫可能領域45例中22例で圧迫法が実施され、そのうち10例(45.5%)で有効であった。術者経験年数が長いほど有効率が高かった(30.0年 vs 7.0年、p<0.01)。

    【結論】立位圧迫法の成立には被検者の性別、BMI、胃の形および術者の経験年数が関与している。適切な実施基準の策定と術者教育体制の整備により、診断精度向上が期待される。

  • 柗山 純也
    原稿種別: 大会講演
    2025 年52 巻6 号 p. 779-785
    発行日: 2025/11/10
    公開日: 2025/12/01
    ジャーナル オープンアクセス

    【背景と目的】胃X線スクリーニング検査の立位圧迫法において適切に圧迫できない症例を経験する。本研究では、圧迫撮影の有効性に影響する因子を検討する。

    【対象と方法】対象は健診にて胃X線検査を受検した800例(男女400例ずつ)。対象において胃X線画像上、圧迫により体部、角部、前庭部、幽門前部の全ての部位で明らかな黒化を認めた例を有効群、部位により黒化を認めなかった例を無効群とし、各群において性別、BMI、胃の形を比較した。さらに有効群において粘膜ヒダおよび胃小区が観察できたものを高画質とし、高画質を得やすい部位を検討した。

    【結果】1)有効群は800例中344例(43%)であった。2)有効群で女性が有意に多かった(有効群:男性31.4%,女性68.6% vs 無効群:男性64.0%,女性36.0% *)。3)BMIが25以上の比率が有効群では無効群に比し有意に少なかった(10.8% vs 31.4% *)。4)胃の形は鈎状胃が有効群では無効群に比し有意に多かった(93.0% vs 66.9% *)。5)有効群のうち高画質を得られた部位は、体部(70.1%)、角部(45.3%)、前庭部(39.5%)、幽門前部(96.5%)であった。* p<0.01

    【考察】圧迫撮影の有効性には、性別、BMI、胃形が影響することが示唆された。幽門前部での画質が他部位に比べ良かった理由は解剖学的形態によると考えられた。

    【結語】性別や体格、胃形を考慮に入れ、圧迫撮影に臨む必要があると考えられた。圧迫部位により画質が異なる観点からは、幽門前部を主たる標的部位とすることを念頭に撮影法の基準の再構築を検討することも必要であると考えられた。

  • 水町 寿伸, 中原 慶太, 高木 優, 加藤 宏章, 田村 涼
    原稿種別: 大会講演
    2025 年52 巻6 号 p. 786-793
    発行日: 2025/11/10
    公開日: 2025/12/01
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】胃がんX線検診における圧迫法の有用性を明らかにする。

    【対象】当関連施設で実施した胃がんX線検診にて発見された胃癌と胃腺腫71例。

    【方法】基準撮影法による二重造影像および圧迫像上の病変形態の明瞭性の程度を「病変描出度」とした。遡求的に得られた内視鏡または切除標本・肉眼所見を基準にし、病変描出度を良好・不良の2区分で判定した。検討1.二重造影像と圧迫像の病変描出度、検討2.病変因子別(①領域、②壁側、③肉眼型、④大きさ)の圧迫像の病変描出度。

    【結果】検討1.二重造影像の病変描出度は良好85.9%(61/71)、不良14.1%(10/71)、圧迫像は良好76.1%(54/71)、不良23.9%(17/71)で、二重造影像と圧迫像の病変描出度に有意差を認めなかった。また、二重造影像・不良10例のうち8例で圧迫像・良好となっていた。検討2.病変因子別では、③肉眼型で1~5型が0型に比べ、有意に良好であった以外、①領域、②壁側、④大きさ別で病変描出度の差は認めなかった。

    【結論】胃がんX線検診における圧迫法は病変描出に有用であり、二重造影法を補完可能な撮影方法と考えられた。

  • 角田 圭雄, 結束 貴臣, 海老沼 浩利
    原稿種別: 大会講演
    2025 年52 巻6 号 p. 794-801
    発行日: 2025/11/10
    公開日: 2025/12/01
    ジャーナル オープンアクセス

     脂肪性肝疾患(SLD)には、代謝異常関連脂肪性肝疾患(MASLD)、アルコール関連肝疾患(ALD)、薬物性肝障害、およびMASLDとALDの中間的病態として代謝機能障害アルコール関連肝疾患(MetALD)が含まれる。非侵襲的診断法の開発が活況で、代謝機能障害関連脂肪肝炎(MASH)の診断補助として、血清CK-18Fが2024年保険適応となった。CLIONE試験では、肝線維化の程度が肝疾患関連イベントの発症予測に重要な因子であった。肝線維化の非侵襲的診断は、1st stepとしてFIB-4 indexを用い、2nd stepでは超音波エラストグラフィやMRエラストグラフィによる画像診断、または肝線維化マーカーが有用である。肝線維化マーカーとしては、4型コラーゲン7S、Mac2結合蛋白糖鎖異性体などが有用であるが、グローバル標準のELF(enhanced liver fibrosis)testが2024年保険適応となった。慢性肝疾患の早期発見を目指して奈良宣言2023が発出されたが、すべてのステークホルダーから承認されていない。薬物療法については米国食品医薬品局が甲状腺β受容体作動薬(resmetirom)を承認したが、国内では未承認である。GLP-1受容体作動薬(semaglutide)が第三相試験(ESSENCE試験)で、プラセボに比して有意にMASHあるいは肝線維化を改善させたことから、国内でも承認が期待される。またSGLT2阻害薬や、GLP-1/GIP作動薬(tirzepatide)などの糖尿病薬も有望である。高中性脂肪(TG)血症合併例では、pemafibrateがDHA/EPAに勝るとの結果(PORTRAIT試験)から、高TG例にはpemafibrateが推奨される。

  • 倉橋 知英, 法水 淳, 平松 直樹
    原稿種別: 大会講演
    2025 年52 巻6 号 p. 802-806
    発行日: 2025/11/10
    公開日: 2025/12/01
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】糖尿病患者における脂肪肝スクリーニングの実態と、SGLT2阻害剤治療の効果予測因子を検討することを目的とした。

    【方法】検討1:2014年以降、当院で6か月以上SGLT2阻害剤投与を受けたSLD患者916例を対象に、投与前後の肝画像検査実施率を検討した。検討2:2014年以降、当院で1年以上SGLT2阻害剤投与を受けた糖尿病合併SLD患者263例を対象に、投与前後の血小板数、肝胆道系酵素、肝予備能、肝線維化マーカー等の経時的変化を比較検討した。

    【結果】検討1:肝画像検査実施率は69.4%、MASLD合併率は57.7%であった。検討2:ALT、ALP、γGT、ALBI scoreが有意に減少し、FIB-4 indexは改善を認めなかった。MASLD/MetALDで層別化して検討した結果、MASLD群ではALT、ALP、γGT、ALBI score、FIB-4 indexが改善したが、MetALD群ではγGTとFIB-4 indexが悪化した。肝線維化非改善と考えられる、1年後の高FIB-4 indexに関連する因子を検討した結果、治療前のFIB-4 index高値とアルコール摂取量が多いことが抽出された。

    【考察・結語】糖尿病患者における肝疾患スクリーニングの重要性が再認識され、特にMASLD患者に対する適切な治療と予後予測因子の評価が求められることが示唆された。

  • 八島 正明
    原稿種別: 大会講演
    2025 年52 巻6 号 p. 807-814
    発行日: 2025/11/10
    公開日: 2025/12/01
    ジャーナル オープンアクセス

     標準的な12誘導心電図検査は、総合健康診断における主要な検査の一つである。その結果を判定するにあたり、自動心電図診断は重要な参考指標となる。先人による長年の研究とコンピュータ技術の進歩により、自動診断は高い精度と信頼性を達成している。しかしながら、一部の疾患では心電図異常が現れないため、全ての病態を診断できるわけではない。ミネソタコードは心電図診断と所見解釈に有用な優れた分類体系である。しかし、多様な解釈が可能な所見をどう判定するかという課題が残る。厳格な判定は過剰診断を減らす一方、見逃し診断を増加させる。基準を広く取った判定は見逃し診断を減らす反面、過剰診断の非難を招く恐れがある。さらに、現行の診断プログラム技術を用いても、自動診断実施時には完全には解決できない落とし穴が存在する。目視でペースメーカースパイクが明確に識別できる場合でも、自動診断では認識できないことがある。さらに、結果判定には自動診断結果を基にして総合的に判断を行う必要があるが、判定基準は標準化されておらず、心電図所見以外の情報も考慮する必要がある。自動心電図診断のこうした限界を認識した上で、総合健診に活用する姿勢が重要である。

  • 渡辺 賢治, 米井 嘉一
    原稿種別: 大会講演
    2025 年52 巻6 号 p. 815-820
    発行日: 2025/11/10
    公開日: 2025/12/01
    ジャーナル オープンアクセス

     近年、長寿研究は学問的な進歩が著しく、アンチエイジングドックの重要性も認識されている。種々の疾患のベースには、血管老化や免疫の老化といった加齢変化があり、加齢変化そのものを早期に発見し、将来的な種々の疾患を予防する、というのがアンチエイジングドックの役割である。

     アンチエイジングドックは通常の健診では行わないような、老化に特化した検査項目をそれぞれの施設で選択して行っている。その中の一つがAADライフワークスである。

     AADライフワークスは現在ベータ版がリリースされている。検査結果は2つのカテゴリーで表示され、一つは現在の老化度を表す。もう一つは老化の危険因子である。どちらも5つの指標から成り、レーダーチャートで表される。すべての指標が均一に老化することはないため、自分の弱点をレーダーチャート上で可視化することが重要である。その弱点を克服することで他の指標も改善することが期待される。

     AADライフワークスを普及するためには、ウェブ上でプラットフォームを作成する必要があった。各診療施設から検査データがアップされ、アルゴリズムによって自動的に結果が表示がされ、同時に生活上のアドバイスが得られるような仕組みが構築された。2022年からウェブ作成を開始し、2023年にウェブのベータ版がリリースされた。ドクターアドバイス付きの結果は20ページに及ぶ。アドバイスは得られた結果に応じて自動で入力されるが、患者さんをよく知る主治医ならではの視点で、アドバイスを編集できる仕組みになっている。

     ウェブでのAADライフワークスは使い勝手が良いが、今後は、認知度の向上、日常診療に効率よく組み込む方法、検査費用の適正な負担、などについて検討を重ねていく必要がある。

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