総合健診
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原著
  • 吉田 礼子, 勝川 史憲, 旭 久美子, 石井 広二, 荒井 勝己, 増野 弥生, 齋藤 陽子
    原稿種別: 原著
    2019 年 46 巻 3 号 p. 345-355
    発行日: 2019/05/10
    公開日: 2019/08/01
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】異なる肥満判定基準による高血糖のリスクを比較するとともに、高血糖を予測するBMIと腹囲のカットオフ値を検討する。

    【方法】2013年のA県職域検診受診者15,278名中、データ欠損、糖尿病薬服用者、年齢20歳未満と60歳以上を除く11,579名(男6,678名、女4,901名)を対象とした。3つの肥満判定基準(BMI≧25kg/m2(BMI基準)、腹囲:男≧85cm、女≧90cm(JASSO腹囲基準)、腹囲:男≧90cm、女≧80cm(WHO腹囲基準))で、男女および年齢階層別に、高血糖(空腹時血糖(FBS):126、110、100mg/dL以上、HbA1c 6.5、6.0、5.6%以上)の有病率・オッズ比を比較、ROC曲線でBMIと腹囲のカットオフ値を求めた。

    【結果】高血糖有病率は、男性ではBMI基準及びJASSO腹囲基準が類似していたが、女性では3基準で異なっていた。ROC曲線によるカットオフ値は、BMIは男性24.5~25.7(AUC 0.63~0.71)、女性21.3~25.0(AUC 0.62~0.86)、腹囲は男性 80.9~89.2cm(AUC 0.66~0.74)、女性 76.9~85.0cm(AUC 0.63~0.88)だった。高血糖を予測するカットオフ値は、FBS、HbA1cの基準を厳しくすると下がる傾向だったが、男性のBMIのみ25前後で一定していた。

    【結論】本研究対象者では、高血糖を予測するカットオフ値は、女性は現行の肥満判定基準より低値であり、さらなる検討の必要性が示唆された。

  • 藤原 麗, 安西なつめ , 石川 元康, 髙橋 敦彦
    原稿種別: 原著
    2019 年 46 巻 3 号 p. 356-362
    発行日: 2019/05/10
    公開日: 2019/08/01
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】本研究は、若年女性を対象とし、簡易的に測定可能な項目を用いて骨格筋指数(skeletal muscle mass index: SMI)の推定式を算出することを目的とした。

    【対象】対象者は、呼びかけによって無作為に選ばれた本学科の女子学生117名(18.8±0.8歳)である。対象者には、事前に本研究の目的や実施法について口頭と書面にて説明し、同意文書を得た。解析対象者は、同意文書を得られた学生で、なおかつ測定結果に不備のない117名である。

    【方法】平成30年7月に身体等の測定を行った。身体等の測定項目は身長・体重・体脂肪率・体脂肪量・四肢筋量(appendicular muscle mass: AMM)・握力・下腿最大周囲長である。身長は身長計、体重・体組成は、生体インピーダンス法(bioelectrical impedance analysis:BIA法)を用いたマルチ周波数体組成計より測定した。

     そして、本研究ではより精度が高いSMIの簡易推定式を作成するため、「下腿最大周囲長指数(calf circumference index: CCI)」=体脂肪量(kg)/(下腿最大周囲長[m])2 を考案した。

     SMIの簡易推定式を算出するため、ステップワイズ法(変数増減法)によって選択し、重回帰分析を行った。SMIの説明変数の選択の際には、SMIを目的変数とし、従属変数をBMI・体脂肪量・握力・下腿最大周囲長・CCIとした。

    【結果】本研究の対象者におけるSMIは 7.2±0.6kgであった。SMIは全ての変数との有意な相関がみられたが、最も高い相関係数の変数はBMI(p<0.001)であった。SMIの推定式はBMIとCCIの次式の回帰モデルによって高精度なSMI推定式が算出できた(R2=0.89)。

     SMI=3.003+0.297BMI-0.020CCI

    【結語】本研究のSMI推定式は簡易的な測定方法から算出できるため、骨格筋量の自己評価が可能となり、若年女性のサルコペニアの早期予防の動機づけとなることが期待できる。

大会講演
日本総合健診医学会 第47回大会
  • 林 務
    原稿種別: 大会講演
    2019 年 46 巻 3 号 p. 363-369
    発行日: 2019/05/10
    公開日: 2019/08/01
    ジャーナル オープンアクセス

     健康診断の目的は、医療の必要性の有無について判別することであり、その判別能力を健康診断の品質と見ることができる。この判別するという考え方は、統計学でいう感度と特異度と同様の考え方であり、感度と特異度を計算できる精密検査指示率や精密検査受診率、結果判明率などを健康診断の品質指標とすることができる。従って、健康診断では、受診後の追跡調査を充実させることが求められる。また、健康診断の結果に対する判断をより正確にするためには、一律の基準で判断するのではなく、個体の生理的変動から個人の基準範囲を作成して判断材料とし、かつ、個体の加齢現象も加味して判断しなければならない。そのためには、時系列で比較可能な検査結果を蓄積することが必要であり、常に一定の精度を保つように検査を行わなければならない。また、これからは結果を持ち運ぶことができるようになることを鑑みれば、他の健診施設との間でも時系列で比較できる結果を提供しなければならない。同時に、健康診断の結果に対する判断の精度を高めるためには、健康診断受診後の経過について受診者から施設へフィードバックすることが大切であることを受診者に教育しなければいけない。

  • 三保 仁
    原稿種別: 大会講演
    2019 年 46 巻 3 号 p. 370-376
    発行日: 2019/05/10
    公開日: 2019/08/01
    ジャーナル オープンアクセス

     スクーバダイビングは、水中という高気圧環境下で行われる特殊な活動であるため、健康適正基準が特殊なものになる。本邦には、世界的な基準であるRecreational Scuba Training Councilに基づき、日本高気圧環境・潜水医学会が作成した「ダイバーのためのメディカルチェック・ガイドライン」が存在する。ダイバーの検診項目は、このガイドラインを満たすものであるかどうかで個々に決定される。まず、ダイバーは健康問診票を記入し、該当項目がない場合には一般的な検診を行うに留まるが、該当項目がある場合には、追加検診項目をガイドラインを参考にしながら決定してゆく。ガイドラインの内容は多岐広範囲にわたるため、本論文では、一般的なスポーツでは問題にならない疾患や病態が、潜水活動では重大な障害をもたらし、誤判断を招きやすい疾患群を抜粋して解説する。神経系では、意識障害および失神発作を起こしうる病態は潜水禁忌である。特にてんかんは死亡事故が多い。循環器系では、9METSの運動能力があること、心臓シャントがないこと、高血圧症では指定の薬剤のみで良好にコントロールされていることが必要である。呼吸器系では、肺の空洞性病変がないこと、喘息のコントロールがガイドラインを満たしていること、気胸病歴がないことが求められる。消化器系では、嘔吐する可能性がある疾患は潜水禁忌である。血液疾患では、出血傾向および血液が高粘調度な病態では潜水不可である。内分泌系では、糖尿病は投薬が必要な状態では潜水不可である。また、高気圧環境下特有の疾患である減圧障害を知ることは、ダイバーの検診および診断の一助になる。これには、減圧症(Decompression sickness)と動脈ガス塞栓症(Arterial Gas Embolism)があり、浮上中の減圧時に発症する特殊な疾患である。

  • 村下 公一
    原稿種別: 大会講演
    2019 年 46 巻 3 号 p. 377-388
    発行日: 2019/05/10
    公開日: 2019/08/01
    ジャーナル オープンアクセス

     弘前大学では、長年に及ぶ青森県の平均寿命全国最下位(短命県)から脱却すべく、2005年から弘前市岩木地区の住民を対象に「岩木健康増進プロジェクト」と銘打った地域健康増進活動を実施している。その活動の一環として、毎年1,000名超の地域住民を対象とした大規模合同健康調査を実施し、その検査項目数は今や約2,000項目にまで及び、これまで14年間で延べ約2万人(小中学生を含む)の健常人の健康情報(健康ビッグデータ)が蓄積されている。この健康ビッグデータは、ゲノムから生理・生化学データ、個人の生活活動データ、社会経済環境データまで全身健康(機能)に関するあらゆる内容を包含する網羅的なデータ構造になっており、このようなデータは世界的にも類例がなく、当拠点の大きな特長となっている。

     このような取組を基盤に、2013年には文部科学省のセンター・オブ・イノベーションプログラム(COI)に採択され、これを機に国内大手ヘルスケア企業を含む40社以上の企業をはじめ、大学や国研等を含め約50機関が本COIプロジェクトに参画し、アンダーワンルーフの名の下に、巨大コンソーシアムを形成し、蓄積した健康ビッグデータをベースに、社会問題である生活習慣病・認知症をターゲットとした疾患予兆法・予防法の研究開発などに戦略的に取り組んでいる。本演題では、「健康ビッグデータ」の解析結果と、弘前大学COI拠点が目指す“健康長寿社会”実現に向けた将来展望(基本戦略)と、社会実装に向けた本拠点の戦略的取組について紹介する。

     当拠点では、まさに産・学・官・民が一体となって、真の社会イノベーション創造を目指し、地域住民の健康増進に向けた社会環境の構築にも大きな力を入れている。最終的には、生活者の健康意識と行動変容にまでつなげていくことを重要視しており、社会実装の中核的組織として「健やか力推進センター」を県医師会内に創設し、地域・職域・学域といった主要フィールドに対して、健康教育(啓発)活動等を積極的かつ多角的に展開している。

     その中でも、住民のヘルスリテラシー向上に向けた戦略的取組のひとつとして、健康教育に基軸をおいた新たな行動変容プログラム(啓発型健診)の開発に取り組んでいる。これは、検査内容を「メタボ」「ロコモ」「口腔保健」「うつ病・認知症」の4つの主要分野に絞り込み、約2~3時間で検査から結果説明、健康教育までを一気通貫で完結させる、コンパクト型のプログラムパッケージである。これまでの実証試験の結果、HbA1cや内臓脂肪が有意に低下したほか、健康意識の向上など、一定の効果も認められつつある。

     このような一般市民から自治体、マスコミ等をも巻き込んだ一大社会活動は、全国で最も平均寿命の短い青森県民の健康意識(ヘルスリテラシー)の改善にまで徐々につながりつつある。将来的には着実に短命県返上を達成し、そこで得た知見・ノウハウを弘前COIモデルとしてとりまとめ、国内はもとより、アジアをはじめ、広く海外にまで波及させ、世界人類の健康づくり(SDGs)に貢献していきたい。

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