総合健診
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原著
  • 田所 富美子, 加土井 桂子, 田中 忍, 戸田 利恵, 宮内 輝幸, 森山 紀之
    原稿種別: 原著
    2022 年 49 巻 5 号 p. 493-498
    発行日: 2022/09/10
    公開日: 2022/11/01
    [早期公開] 公開日: 2022/06/28
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】私共医療法人社団進興会では、特定保健指導実施率の向上を目指す事業所(情報通信業)と連携し、2019年度よりグループ支援を開始、初年度の取り組みの成果について報告と検討を行った。

    【対象】2019年4月~2020年2月に実施したグループ支援(計27回)の対象者260名(積極的支援140名、動機付け支援120名、平均年齢48.5±5.0歳)。うち評価終了した男性203名について、詳細な成果の検討を行った。

    【方法】対象者への参加勧奨は事業所主体で実施し、勤務時間内に参加できるものとした。初回面接をグループで、継続支援は電話・メール等の通信で行った。継続支援の進捗状況を事業所と共有し、当会と事業所の両者から利用勧奨を行うことで途中脱落防止を目指した。効果検証として①取組開始前後の参加率の比較②終了率と脱落率の検討③評価終了者203名の開始時と終了時の腹囲・体重の比較を行った。また、評価終了までの期間中に新型コロナウィルス感染拡大による緊急事態宣言が発出されたことから、その影響も分析した。

    【結果】参加者260名のうち、終了者211名、みなし終了者18名、途中脱落者27名、資格喪失者4名。参加率は、取り組み開始前の約20%から約50%まで上昇。終了率は全体の8割にのぼり、脱落率は資格喪失者を含め11.9%と、当院実施の全健保での脱落率と比べ低い水準となった。腹囲・体重ともに支援前後で有意な減少が認められた(p<0.001)。緊急事態宣言発出後では、腹囲も体重も目標達成が鈍化していた。

    【考察】働き盛り世代においては、健診後しばらく経ってから個人で特定保健指導を受けることが難しく、健保や事業所は実施率の低迷に苦慮している。その対策として、事業所と連携しグループ支援の機会を提供することは、実施率向上や健康経営の推進に寄与することが示唆された。また、評価終了まで確実に導くためには、対象集団の特徴に合わせた支援内容や利用勧奨方法の検討も必要と考える。

  • 山縣 文夫, 中道 陽子, 白幡 季大, 馬上 典子, 堀之内 優子, 宮川 なおみ, 大野 恭子, 中河原 亜希子, 細井 克美, 八巻 ...
    原稿種別: 原著
    2022 年 49 巻 5 号 p. 499-509
    発行日: 2022/09/10
    公開日: 2022/11/01
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】胃がんリスク層別化検査における血清ヘリコバクターピロリ抗体(Hp抗体)の測定において、ELISA法、CLEIA法、LA法の3種の測定法を比較し、ABC検診におけるLA法の適正なカットオフ値を検討する。

    【方法】書面で了解を得た人間ドック受診者929名を対象とし、受診時に採血した新鮮血清を用いて、ペプシノゲンⅠ/ⅡをCLEIA法とLA法で、Hp抗体をELISA法、CLEIA法、LA法で測定し、井上らの提唱に従ってA・B・C・D群に層別化した。内視鏡検査による萎縮の程度は木村・竹本分類によった。

    【結果】929名は、C0分類が832名、C1分類が32名、C2分類が26名、C3分類が13名、O1分類が16名、O2分類が6名、O3分類が4名であった。ELISA法(カットオフ値(CO):3U/mL)では、A群が849名、B群が59名、C群が17名、D群が4名であった。CLEIA法(CO:4.0単位/mL)では、それぞれ849名、59名、16名、5名とほぼ一致していた。LA法(富士フイルム和光純薬製)(CO:4.0単位/mL)では、それぞれ823名、83名、18名、5名となったが、LA法におけるCOを6.0単位/mLとすることで他の二法とほぼ同様の結果が得られた。対象母集団により得られるCOは変動する可能性が示唆された。

    【結論】各種検診におけるスクリーニング検査では、偽陰性を少なくし、偽陽性を許容範囲に抑える必要がある。また、多数検体を精度よく測定するには、自動分析装置に適用できる必要もある。LA法ではCOを6.0単位/mLとした場合に他の二法とほぼ同様の結果が得られた。LA法は汎用自動分析装置で使用できることため、対象者数が多いABC検診に適していると考えられる。

調査報告
  • 松尾 兼幸
    2022 年 49 巻 5 号 p. 510-516
    発行日: 2022/09/10
    公開日: 2022/11/01
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】仙台市乳がん超音波検診の現状と問題点を把握することを目的に、検診医師と検診医療スタッフおよび検診受診者を対象とした自己記入式質問調査を実施した。

    【対象と方法】仙台市医師会外科医会に所属し、仙台市乳がん超音波検診を実施している施設において検診医師と検診医療スタッフおよび検診受診者を対象とした自己記入式質問調査(アンケート)を行い、その結果に対し疫学的検討を行った。

    【結果】19の調査機関から検診医師と検診医療スタッフより47件、検診受診者より701件のアンケートを回収した。検診受診者については「毎年受診している」が全体の74%を占め、「出産歴がある」が66%であった。また、自己触診だけでは不安を感じ、仙台市健康福祉局の広報などを通じて検診を知り、受診しているケースが多かった。検診全体への満足度は「満足」、「ほぼ満足」を合わせて95.1%と非常に高い評価を得た。

     一方、検診医師や検診医療スタッフからは、検診機関として参加できたことへの満足度は高いものの、プライバシーへの配慮や事務手続き等の点で改善が必要であるとの意見が寄せられた。

    【結論】今回の調査では検診受診者より高い満足度が得られた。このことから、仙台市乳がん超音波検診は、検診受診者と医療者との信頼関係を背景に、安心・安全に行われていることが推察できる。今後、より迅速に乳がん超音波検診が受診できる体制づくりが必要と思われる。

大会講演
日本総合健診医学会 第50回大会
  • 佐藤 慎祐
    原稿種別: 大会講演
    2022 年 49 巻 5 号 p. 517-524
    発行日: 2022/09/10
    公開日: 2022/11/01
    ジャーナル オープンアクセス

     胃X線検診に従事する撮影技師は、救命可能な胃がんの発見のため、基準撮影法や新・胃X線撮影法であるガイドライン撮影法をまず習得する。ガイドライン撮影は、高濃度低粘性粉末バリウムを使用し、二重造影法を主体とした撮影法で、後壁、前壁、上部の順で撮影する。撮影技師は、検査中に自分の判断で追加撮影を行う。追加撮影像には、以下に示す3つの意味がある。①異常と認識されたが、その後の透視観察や撮影で正常粘膜とのかけ離れがないと判別できる画像②スクリーニングでの描出不十分な領域を補うための画像③異常と認識された所見が正常粘膜とかけ離れており、その粘膜の程度を詳細に描出する画像である。今回は、ガイドライン撮影の手技を妨げずに、正常粘膜とどれだけかけ離れているかを描出した画像を追加撮影像と定義し、その有効性について評価した。

     症例を検討した結果、透視観察で異常所見を認識したが、ガイドライン撮影の手技を妨げてしまい、その後のスクリーニング撮影に影響を及ぼしてしまった症例があった。一方で、追加撮影を行うための透視観察能力や撮影技術は持ち合わせていたが、診断の根拠や治療を考慮した情報といった、胃癌の肉眼的・可視的な特徴を得るための形態学が把握されていなかった追加撮影像も経験した。

     胃X線検診での有効な追加撮影像を得るためには、ガイドライン撮影を基盤とした撮影技術の組み立てが出来るようになる事、学会や症例検討会などから得た知識を撮影に応用させるなど、地道な作業と胃がんを発見するという情熱が、有効な追加撮影が身につくための近道であると思われた。

  • 久保田 憲宏
    原稿種別: 大会講演
    2022 年 49 巻 5 号 p. 525-528
    発行日: 2022/09/10
    公開日: 2022/11/01
    ジャーナル オープンアクセス

     胃X線検査は、診療放射線技師の撮影技術により画質が左右される検査である。したがって、基準撮影法の遵守と、たゆまぬ努力・研鑽を積むことが重要である。しかし、胃X線検査で日常遭遇する症例の中には、変形胃、バリウムの小腸流出などによる障害陰影、空気量の変化、検診ならではの時間的制約などのために、基準撮影法だけでは対応しきれない症例がみられ、苦慮することがある。さらに、精密検査や治療を要するような病変を想定する所見を発見した場合、その所見が本当に精密検査や治療の対象となりうるかを読影医に伝えるための追加撮影が必要となるが、その方法も多岐にわたり、日々の撮影やその習得に検査担当者は頭を悩ませているところである。今回、胃X線検査の追加撮影の目的である胃内全領域の網羅性について着目し、日常的に遭遇する症例である変形胃や流出バリウムへの対策と有効な追加撮影の例について報告する。

  • 長谷川 暢子
    原稿種別: 大会講演
    2022 年 49 巻 5 号 p. 529-534
    発行日: 2022/09/10
    公開日: 2022/11/01
    ジャーナル オープンアクセス

     職域におけるがん検診は、我が国のがん対策において非常に重要な役割を担っている。がん検診では「正しい検診」を「正しい方法」で「多くの人に行う(受診率対策)」ことが重要であるが、職域では「受診率対策」が優先され、検診方法の選定や精度管理体制が不十分であることが多い。

     子宮頸がん検診においても例外ではなく、エビデンスのない自己採取細胞診が利便性の良さを理由に職域で広く実施されてきた。しかし、「有効性評価に基づく子宮頸がん検診ガイドライン2019年度版」において「細胞診は医師採取のみとし、自己採取は認めない」と明示された。合わせて自己採取HPV検査の活用可能性についても示唆された。

     自己採取HPV検査は、医師採取とほぼ同等の精度であり、主に未受診者対策としての活用が期待される。国内では自治体における未受診対策として実施された報告がいくつか存在するが、職域における報告はない。今回、職域における自己採取HPV検査を活用した未受診対策について良好な成績をおさめた事例を経験したので紹介する。

     ワコール健康保険組合は、2019年度の子宮頸がん検診未受診者(30歳以上)に対して自己採取HPV検査キットを送付し、その後の検診受診状況を分析した。結果、対象者の約3割が検体を返送し、HPV陽性者の約8割、陰性者の約6割が検診を受診した。さらに、キットを未返送だった約7割の対象者のうち、約5割が検診を受診した。キットの送付自体が検診への意識を高め、受診に繋がったものと考えられる。

     このように、自己採取HPV検査は職域においても非常に効果的な受診勧奨ツールであることが示唆された。ただし、実施に際してはHPV陽性者を確実に医師採取細胞診へ誘導する運用の構築が必須であり、職域における自己採取HPV検査実施ガイドライン制定が望まれる。

  • 岩成 治
    原稿種別: 大会講演
    2022 年 49 巻 5 号 p. 535-543
    発行日: 2022/09/10
    公開日: 2022/11/01
    ジャーナル オープンアクセス

     欧米は、HPVワクチン接種率70%、子宮頸がん検診受診率70%に向上した結果、前がん病変有病率は0.4%に、がん罹患率は約7.0に激減し、子宮頸がん排除(罹患率4)間近である。わが国は、検診受診率43%、HPVワクチン接種率1%に低迷していたため、前がん病変有病率2.0%、がん罹患率14.7で、増加し続けている。今後10年間はHPVワクチン効果が期待できないため、検診だけで子宮頸がん排除を目指さなくてはならない。そのためには、前がん病変が多発する25~45歳の受診率を85%以上に上げ、しかも前がん病変を見逃さない検診手法を選択しなくてはならない。検診手法には、従来からの細胞診単独検診、費用対効果の高いHPV検査単独検診、高精度の細胞診・HPV検査併用検診、未受診者対策としての自己採取HPV検査がある。今回、日本の実情にあった検診手法を選択するにあたり、見逃し率と罹患率減少効果の観点から、実体験を交えて検討した。1)細胞診単独検診;我が国における前がん病変検出感度は85%、特異度95%。前がん病変有病率は2.0%なので、推計見逃し数は検診10万人中300。検診受診率80%が維持できれば推計罹患率は10までは減少できる。2)HPV検査単独検診;感度は95%、特異度91%。推計見逃し数は100。罹患率8までは減少可能。3)細胞診・HPV検査併用検診;感度は99%、特異度90%。推計見逃し数は20。罹患率は5まで減少可能。実際に、出雲市の罹患率を5にすることができた(HPV併用検診歴12年、若年受診率75%)。4)自己採取HPV検査;出雲市で行った行政研究の結果、未受診者6,270人の30%が本検査を受診し、前がん病変の検出率は10.8%で全国平均の18倍だった。施行した医師採取HPV検査との陽性一致率は84%、陰性一致率は85%であった。【結論】ワクチンと検診の相乗効果によって前がん病変有病率とがん罹患率が欧米並みに減少するまでは細胞診・HPV検査併用検診を選択すべき。若年者の未受診者対策として、郵送式自己採取HPV検査は非常に有効である。

  • 黒川 哲司, 大沼 利通, 品川 明子, 知野 陽子, 吉田 好雄
    原稿種別: 大会講演
    2022 年 49 巻 5 号 p. 544-547
    発行日: 2022/09/10
    公開日: 2022/11/01
    ジャーナル オープンアクセス

     日本における子宮頸がん検診の問題点の一つは検診受診率の低さである。その問題点の解決策の一つとして、都合の良い時に都合の良い場所で行える自己採取HPV検査による検査の導入を考えた。本研究の目的は、自己採取HPV検査が住民に受け入れられることを確認することである。結果は、検診未受診者でも自己採取HPV検査なら10%程度は検査を受ける意思があることが確認できた。さらに、未受診者には高危険群HPVの陽性者が13.6%と高率に含まれていた。その希望者の中で、1%程度の前がん病変が発見された。今回の検討は、自己採取HPV検査の導入が子宮頸がん検診受診率の改善に寄与することが示唆された。

  • 小澤 信義, 目時 弘仁, 伊藤 潔, 八重樫 伸生
    原稿種別: 大会講演
    2022 年 49 巻 5 号 p. 548-554
    発行日: 2022/09/10
    公開日: 2022/11/01
    ジャーナル オープンアクセス

     日本は子宮頸がん検診の受診率が約40%で、HPVワクチン接種率は約1%であり、若年者の子宮頸癌が増加傾向にある。未受診者対策としての自己採取HPV検査の精度について検討した。2012年の自己採取器具Delphi(wet法)によるPCR法HPV検査での検討では、CIN2+(20例)のHPV検査陽性率(感度)は自己採取90%(18/20)、医師採取85%(17/20)であった。2013年の自己採取器具Evalyn brush(dry法)によるPCR法HPV検査での検討では、CIN2+(20例)のHPV検査陽性率は自己採取90%(18/20)、医師採取90%(18/20)であった。2014年の自己採取器具Flocked Swabs(dry法)によるPCR法HPV検査では、CIN2+(21例)のHPV検査陽性率は、自己採取100%(21/21)、医師採取95%(20/21)であった。2016~2017年のEvalyn brushによるHC2法HPV検査では、CIN2+(170例)のHPV検査陽性率は自己採取77.6%(132/170)、医師採取91.8%(156/170)であった。2020年の自己採取器具ホームスミアキット(wet法)とPCR法HPV検査では、CIN2+の10例のHPV検査陽性率は自己採取80%(8/10)、医師採取90%(9/10)であった。

     2012~2020年に当院で検討したCIN2+の241例をHPV検査法別で検討すると、PCR法が71例、HC2法が170例であった。HC2法でのHPV検査陽性率は自己採取77.6%(132/170)、医師採取91.8%(156/170)であった。HC2法では、自己採取法が医師採取法に比較して感度が14.2%低下していた(p<0.0001)。PCR法でのHPV検査陽性率は自己採取91.5%(65/71)、医師採取90.1%(64/71)であった。PCR法では採取器具とHPV検査法では差は見られなかった。ただし、医師採取のPCR法HPV検査でもCIN2+の約10%が陰性であった。HPV単独検診のリスクを事前に説明する必要がある。HPV非関連癌(子宮体癌や卵巣癌)が年々増加しており、HPV検査のみでなく、細胞診や経膣超音波検査を含めた、総合的な婦人科がん対策が必要である。子宮頸癌の未受診者対策として、自己採取HPV検査が行われ受診率が向上することを期待したい。

  • 津下 一代
    原稿種別: 大会講演
    2022 年 49 巻 5 号 p. 555-563
    発行日: 2022/09/10
    公開日: 2022/11/01
    ジャーナル オープンアクセス

     従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践する「健康経営」が注目されている。健康経営優良法人の認定要件として、経営者自身の健診受診(中小企業部門)、ヘルスリテラシー向上のための教育機会の設定、定期健診受診率(100%)、受診勧奨の取り組み、保健指導の実施等、健診・保健指導関連項目が多く挙げられているように、健診は健康経営の入り口ともいえる。

     健康経営は大規模事業所でスタートを切ったが、中小規模事業所向けの健康経営優良法人認定制度が2016年度に開始され、2021年度には7,932社が認定を受けている。ただし全国300万社から見ると0.26%に過ぎない。協会けんぽの各支部や自治体が協力して、中小企業の健康経営の推進を支援するようになった。

     「健康スコアリングレポート」では、NDB(ナショナル・データ・ベース)を用いて特定健診・特定保健指導実施率、質問票で把握される生活習慣、健診データで把握される健康課題をスコア化している。健診機関においては、正確な健診データの提供、保健指導や受診勧奨、企業・保険者の依頼に基づく健診データ分析など、健康経営を支援する役割が期待される。

     2019年に改訂された「地域・職域連携推進ガイドライン」は、地域の関係機関と連携し、地域特性を生かした連携事業を進めるためのものである。健診機関の役割として、①受診者全体の健康課題に関する情報の提供、②地域・職域連携推進事業(講演会、健康教育、健診、保健指導等)への協力、が挙げられている。健診機関には日ごろ地域・職域にわたる地域住民等が受診していること、保健指導の専門職も配置されていることから、地域・職域連携推進への一層の協力が期待される。

     今後、ICT活用により、これまで保健事業へのアクセスが不十分だった対象者への健康支援が進むことを期待したい。

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