総合健診
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日本総合健診医学会 第50回大会
日本総合健診医学会 第50回大会・シンポジウム5 子宮頸がん検診の現状と今後─自己採取HPV 検査の可能性と課題─ 当院での自己採取HPV検査の試み CIN2+241例での自己採取と医師採取でのHPV検査の検討─PCR法とHC2法との比較検討─
小澤 信義目時 弘仁伊藤 潔八重樫 伸生
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2022 年 49 巻 5 号 p. 548-554

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抄録

 日本は子宮頸がん検診の受診率が約40%で、HPVワクチン接種率は約1%であり、若年者の子宮頸癌が増加傾向にある。未受診者対策としての自己採取HPV検査の精度について検討した。2012年の自己採取器具Delphi(wet法)によるPCR法HPV検査での検討では、CIN2+(20例)のHPV検査陽性率(感度)は自己採取90%(18/20)、医師採取85%(17/20)であった。2013年の自己採取器具Evalyn brush(dry法)によるPCR法HPV検査での検討では、CIN2+(20例)のHPV検査陽性率は自己採取90%(18/20)、医師採取90%(18/20)であった。2014年の自己採取器具Flocked Swabs(dry法)によるPCR法HPV検査では、CIN2+(21例)のHPV検査陽性率は、自己採取100%(21/21)、医師採取95%(20/21)であった。2016~2017年のEvalyn brushによるHC2法HPV検査では、CIN2+(170例)のHPV検査陽性率は自己採取77.6%(132/170)、医師採取91.8%(156/170)であった。2020年の自己採取器具ホームスミアキット(wet法)とPCR法HPV検査では、CIN2+の10例のHPV検査陽性率は自己採取80%(8/10)、医師採取90%(9/10)であった。

 2012~2020年に当院で検討したCIN2+の241例をHPV検査法別で検討すると、PCR法が71例、HC2法が170例であった。HC2法でのHPV検査陽性率は自己採取77.6%(132/170)、医師採取91.8%(156/170)であった。HC2法では、自己採取法が医師採取法に比較して感度が14.2%低下していた(p<0.0001)。PCR法でのHPV検査陽性率は自己採取91.5%(65/71)、医師採取90.1%(64/71)であった。PCR法では採取器具とHPV検査法では差は見られなかった。ただし、医師採取のPCR法HPV検査でもCIN2+の約10%が陰性であった。HPV単独検診のリスクを事前に説明する必要がある。HPV非関連癌(子宮体癌や卵巣癌)が年々増加しており、HPV検査のみでなく、細胞診や経膣超音波検査を含めた、総合的な婦人科がん対策が必要である。子宮頸癌の未受診者対策として、自己採取HPV検査が行われ受診率が向上することを期待したい。

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© 2022 一般社団法人 日本総合健診医学会
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