【背景・目的】胃X線検査における立位圧迫法は二重造影法と並び立つ重要な撮影法であるが、現状では目標画質や実施基準が明確でない。本研究は立位圧迫法の成否と有効性を調査し、スクリーニング検査としての有用性と問題点を明らかにすることを目的とした。
【方法】2024年6月に当施設で胃X線検査を実施した682名を対象に、立位圧迫法の実施率と成否を調査した。また、2024年4月~12月の要精検症例101名について、圧迫法による所見描出効果を評価した。圧迫像の適切性は、標的部位の圧迫状態、黒化度、バリウム充填状態により判定した。統計解析にはχ2 検定、Mann-Whitney U検定、ロジスティック回帰分析を用いた。
【結果】立位圧迫法の実施率は81.8%(558/682例)、実施完了率は68.6%(468/682例)であった。適切な圧迫像が4部位すべてで成立した症例は47.5%(324/682例)であった。多変量解析の結果、圧迫法成立の独立因子は女性(OR 3.80、95%CI 2.41-6.07)、低BMI(5kg/m2 減少ごとOR 1.92、95%CI 1.29-2.91)、非横胃(OR 2.06、95%CI 1.14-3.76)、術者経験年数(5年増加ごとOR 1.32、95%CI 1.18-1.48)であった。要精検症例の検討では、圧迫可能領域45例中22例で圧迫法が実施され、そのうち10例(45.5%)で有効であった。術者経験年数が長いほど有効率が高かった(30.0年 vs 7.0年、p<0.01)。
【結論】立位圧迫法の成立には被検者の性別、BMI、胃の形および術者の経験年数が関与している。適切な実施基準の策定と術者教育体制の整備により、診断精度向上が期待される。