日本総合健診医学会誌
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人間ドック上部消化管X線検査の判定に関連する因子
三山 鎮皓武藤 孝司福渡 靖
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1998 年 25 巻 1 号 p. 27-35

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抄録

医療法に示される良質かつ適切な医療の効率的な提供という理念に添うべく, 人間ドック (以下, ドック) 上部消化管X線検査 (以下, UGI検査) のシステムとしてのQuality向上に資するため, ドックUGI検査の判定に関連する因子についての検討を行なった。
平成7年の日帰りドックでUGI検査を受診した14,142名 (男10,275名/女3,867名, 平均年齢48.7±9.6歳) を対象として, UGI検査の判定 (問題なし・要再検・要精検) と判定医・撮影技師・撮影装置・結果通知方法・診察医と判定医の異同・性別・年齢・受診時期の8項目との関連を, 危険率1%でx2検定およびLogistic回帰分析により求めた。
x2検定では, 判定医・撮影技師・撮影装置・結果通知方法・性別・年齢・受診時期で判定との関連が認められた。Logistic回帰分析では要精再検判定で判定医・年齢・性別・受診時期, 要精検判定で判定医・撮影技師・年齢・受診時期で判定との関連が認められた。判定医は, 要精再検判定より要精検判定において判定との関連が大きく, また要精検判定では, 撮影技師より判定医により判定との関連が大きかった。判定医・撮影技師の経験の多寡と判定には, 一定の傾向はみられなかった。
医療施設側から, ドックUGI検査のQuality保持・向上を計るためには, 判定医への情報の集約が効率的と考えられ, その方法論として, 撮影技師の判定への積極的参加・画像のデジタル化による比較読影のルーチン化・二次検査結果のフィードバック体制などが望まれる。

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