日本総合健診医学会誌
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ストレス・コーピング・テストの健診への応用
保坂 隆高橋 為生仲里 良子西野 理英日野原 茂雄日野原 重明
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1998 年 25 巻 3 号 p. 270-274

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抄録
聖路加国際病院予防医療センターでは, ストレスに関する質問表, すなわち「ストレス・コーピング・テスト」を考案して全受診者に施行している。本稿では, 特に他の検査結果との関連を報告する。
対象は, 1996年4月1日より同年8月31日までの5カ月間における予防医療センター全受診者, 男性1, 752名, 女性1, 361名の合計3, 113名である。「ストレス・コーピング・テスト」は, ストレスへの対処方法についての多肢選択式質問表であり, その回答によって「積極行動コーピング」「気晴しコーピング」「あきらめコーピング」「否認コーピング」など4種類のコーピング・スタイル別の得点が得られるようになっている。その結果, 積極行動コーピングと喫煙・飲酒は有意な正の相関, 総コレステロール・血圧との間では負の相関を示し, 気晴らしコーピングは, 総コレステロール・空腹時血糖・血圧との間に有意な負の相関を示している。あきらめコーピングは, BMI (Body mass index) ・喫煙・飲酒・中性脂肪・空腹時血糖・血圧などとの間に負の相関を示し, 否認コーピングは, BMI・喫煙・飲酒・中性脂肪などとの間に有意な正の相関を示しているが, 総コレステロールとの間には負の相関を示している。他の危険因子との相関も考え合わせて, ストレスに対するコーピングに関しても健診で指導していくことが, 予防医学的には非常に重要であることが示唆された。
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