日本総合健診医学会誌
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地域住民を対象とした糖尿病予防教室の歩数による評価
宮本 徳子今村 裕行森脇 千夏二神 友美内田 和宏嶋田 良子西村 千尋城田 知子今村 英夫
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1998 年 25 巻 3 号 p. 265-269

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抄録
地域耐糖能異常者 (IGT) , 男性7名と女性24名の計31名 (60.7±5.6歳) を対象とした4か月間のIGT教室 (食事・運動療法) が血糖コントロール, 脂質代謝に及ぼす影響について検討した。糖尿病改善の指標とされている1日7, 000歩以上の歩行の効果をより明確にするために, 対象者を8, 000歩以上 (A群) , 7, 000歩台 (B群) , 7, 000歩未満 (C群) に分けた。その結果, 以下の知見を得た。
1) すべての群に, 教室前後における有意な体重の減少がみられた。また, 体脂肪率の有意な減少がA・C群にみられた。
2) 食事調査の結果については, B群で単純糖質の有意な減少, C群で穀類エネルギー比の有意な増加がみられたほかは, 全群とも教室前後で大きな変化はなく, 指示エネルギーを±10%以内で遵守していた。
3) 総コレステロール, ヘモグロビンA1c, の改善がA・B群のみに認められ, また, 動脈硬化指数の有意な減少がB群で認められた。
以上の結果から, 1日7, 000歩, またはそれ以上の歩行と食事療法を併用することでIGT患者の血糖コントロール, 脂質代謝が改善されることが示唆された。
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