総合健診
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一食品製造業従業員の健康状況および生活習慣の現状
新井 俊彦
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2004 年 31 巻 6 号 p. 729-737

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抄録
食品製造業は年中無休, 昼夜生産体制で操業している。従業員の多くは時間給労働者である。このような労働者の健康状況や生活習慣が, 就業シフト (日勤/夜勤) , 性別 (男性/女性) , 年齢 (35歳未満/35歳以上) および業務 (製造/工場業務/配分/包装/生産管理/品質管理) によっていかに異なるかを, 定期健康診断の際のアンケートによって調べた。3工場で独立に集計し, 工場による地域特性の有無についても検討した。3工場全体で回答者は951名で, 回答率は83%であった。身体的疲労, 精神的疲労, ストレスの有無および現在の健康状態を有無の2段階にまとめると, 統計上の有意差は, 勤務シフト別, 性別, 年齢別および業務別で認められず, 工場間でも差はなかった。身体的疲労を感じている者は65%, 感じていない者は28%, 精神的疲労を感じている者は58%, 感じていない者は33%であった。ストレスを感じている者は53%, 感じていない者は34%であり, その原因は人間関係が最も多く, 次いで仕事の質, 仕事の量であったが, 人間関係に因るものは男性より女性に有意に多く, 仕事の質・量に因るものは35歳以上より35歳未満の方に多い。健康状況も健康と不調の2段階で集計すれば, 各区分および工場間で有意の差はなかった。健康な者は75%, 不調な者は14%であった。将来の健康に対する不安も有無の2段階にすると各区分および工場で有意の差は認められず, 不安のない者75%, ある者20%であった。現在治療中の疾病は高血圧症, 高脂血症, 糖尿病の順であった。生活習慣では非喫煙者がかなり多く, 全体では59%であり, 非飲酒者も56%であった。また, 全く運動をしていない者が全体で75%であった。しかし, 睡眠時間は日勤, 夜勤とも6時間で変わらなかった。これらの成績を平成9年の労働省の同様な集計と比較して, この集団の特徴を論じた。
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