総合健診
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空腹時血糖異常に影響する因子に関するコホート研究
金 大成大櫛 陽一山田 敏雄小池 陽子豊田 雅夫鈴木 大輔
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2007 年 34 巻 6 号 p. 623-629

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抄録

糖尿病の発症と生活習慣との関連を明らかにするために, 事業所健診受診者を対象とし, 健診データ (身長, 体重, BMI, 収縮期血圧, 拡張期血圧, 総コレステロール, 中性脂肪, HDLコレステロール, ALT [GPT] , 空腹時血糖値) と生活習慣 (飲酒回数, アルコール摂取量, 喫煙本数, 喫煙年数, 週運動カロリー, 週通勤カロリー, 朝食回数, 間食と夜食回数, 外食回数, 入眠時刻, 睡眠時間, 排便回数, 超勤時間, 週ストレス日数, 夜勤日数) などを調査した。これらの健診検査結果と空腹時血糖異常発生の関連を統計分析により検討した。Cox比例ハザード回帰分析の結果, 肥満, 高血圧, ALT [GPT] は空腹時血糖異常発生に有意に影響していた。また, 以下の因子も空腹時血糖異常発生に関連していた。大量飲酒, 総コレステロール高値, 朝食の欠食, 運動不足, 便秘も有意な因子であったが, その影響は性別と年齢により異なった。入眠時刻の影響は性差があり, 男性では遅いこと, 女性では早いことが空腹時血糖異常発生と関係していた。本研究から, 過食や運動不足という生活習慣が空腹時血糖異常発生に強く影響していることが示唆された。このことから, 生活習慣の改善が本邦における空腹時血糖異常および糖尿病の予防に重要であることが改めて示された。

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