抄録
本研究は中国雲南省居住者の住生活の満足度と住意識を明らかにし、今後の課題を検討することを目的としている。研究方法は、アンケート調査を実施し、属性による特徴、日本の先行調査との比較、居住者の満足度と住意識との関係から分析を行った。結果は以下の通りである。1.住まい及び居住地域への愛着も高く、近隣との人間関係の満足度も高い傾向であった。2.日本の先行調査との比較から、雲南省の居住者は、住宅を選ぶための基準として、住宅形態や定住意識より、状況に応じてより良いものを選択するという回答者が多かった。3.生活及び居住地域への満足度を明らかにするために因子分析を行った結果、地域環境、住宅環境、近隣関係、生活環境の4因子が抽出された。4.伝統的な建造物・まちなみへの意識は、9割以上の者が残していくべきという回答であった。5.地震や災害に対して対策を行っている者は半数以下であり、防災意識の向上が課題である。